『 最近の記事 』

堺妙法寺御手洗いリノベーション vol.8

給排水設備の配管工事が済み、電気配線を施工し、いよいよ『大工さん』登場となります。

一般のお客様の中には、家は大工さんがほぼ一人で作るものと思われている方がいらっしゃいますが、このブログでもお分かり頂けるように、大工さんが入るまでに、沢山の工程が必要です。

以前の天井に比べ、かなり複雑な天井造作になっています。

これは少しでも高い天井を確保するための結果です。

多くの場合、天井は一番低い基準に合わせて造られがちです。しかしながら、制約があり、高さの取り辛い現場においては、このようにその状況に合わせて高さと形の違う天井を造ることで天井高を確保することが可能です。

また、デザインとしても変化の有る個性的な仕上がりに繋げることも可能になります。

フラットな天井造作に比べて、数倍の手間と労力が必要になります。

壁の造作です。

スペースを確保するために、解体後の壁の上ではなく、壁の内部に下地を組んでいます。

通常のリフォーム工事では、壁の上に下地を組むことが一般的な施工方法ですが、この現場ではスペース確保のため、この様な施工方法を採用しています。

その差は壁一辺で30㎜~40㎜です。



このような通常ではない現場においては、常に増して施工管理が大変重要になります。箇所箇所で、細かい指示を大工さんに伝えていきます。

また、担当大工の性質気質も重要な要素になります。この現場は、裏表の無いとても誠実な親子の大工さんが担当してくれました。親子なので、息はぴったりと合っています。

解体の職人さんに続いて、施主様に褒めて頂いた職人さんです。

blogged by松山一磨&安井加奈

堺妙法寺御手洗いリノベーション vol.7

次に進める作業は、給排水設備の配管工事です。

以前は男女兼用であった御手洗い。
広さにして4.5帖ほどのスペースに、ご住職様ご夫妻の念願でもあった男女個別の御手洗いを造ります。
つまり片方のスペースが2.25帖程ということになります。

この4.5帖の空間に給排水合わせて13箇所の配管を仕込んでいきます。
この狭い空間ですので、10mmの誤差も許されません。

10mmと聞かれると結構大雑把に思われるかもしれませんが、ご覧のようにまだ壁も床も天井も無い、解体後の基準が取り難い状況下での施工です。

通常このようなリフォーム工事では、造作する壁や床の側に余裕(余分な寸法)を取り、造作時に計画図面との誤差を+−5mm程に寄せていきます。
しかしながらこの工事ではスペースを確保するために、その余分な遊び寸法は見ていません。
つまり、配管施工は、一発勝負です。

正直に言いますと、『墨出し』をした私自身、ドキドキする配管工事でした。

*墨出し : 施工するための位置を設定する作業

  blogged by 松山一磨 & 疋田まり子

堺妙法寺御手洗いリノベーション vol.6

解体が完了しました。
解体前の天井は、低い所で215cmです。
狭い空間を広く感じてもらう方法の一つとして、天井を高くするということがあります。

解体した結果、天井を上げることが可能でしたので、そのように変更しました。
ではなぜ、施工前は低い天井になっていたのでしょうか。
解体状況を見れば、その理由が分かります。

奥の天井にコンクリートの梁が有り、更にその下に排水管が走っています。
つまりこの配管を基準に天井が作られたということです。

私たちはこのコンクリート梁と配管を梁型の造作で包み、その他の部分を上げて天井を造ります。
つまり、以前は『海賊』的な施工が成されていたということです。

当然のことですが、弊社は常にデザイン性と機能性の両面を重視したプラン・施工を心掛けています。

換気扇は、吸引力とデザイン性から壁でなく天井設置を採用しました。
つまり、天井裏にダクト配管を設置しなくてはならないということです。

照明は、デザイン性からダウンライトを採用し、繊細な造作の邪魔にならないように配慮しています。
つまり、天井裏に埋め込みスペースが必要ということです。

更にバリアフリーの観点から、段差の無い床に変更しました。
そのため床は、以前より15cm上がってきます。

詳細の計画と現場確認が無ければ、以前よりも更に低い天井になってしまいます。

blogged by 松山一磨 & 藤原絵里紗

堺妙法寺御手洗いリノベーション vol.5

解体の続報です。

狭いスペースですので、5mm、1cmでも広くしたいところです。
通常の工事では、このようなタイルは捲らないことが常ですが、厚さにして8mmのタイルを削り取るよう、解体業者さんに依頼しました。

解体業者さんによっては、8mm撤去する意味は理解出来ないかもしれません。
しかしながら、この8mmの意味が分からない工務店には、この工事は無理だと思います。

私たちとしては、意図を汲んで、頑張って大変な作業をしてくれる業者さんに感謝するばかりです。

余談になりますが、ご夫婦共僧侶でいらっしゃるお客様は、この工事の中で、この解体業者さんを一番褒めていらっしゃいました。

『坂本君は素晴らしい!』

坂本君とは、解体業者の担当者です。

綺麗に掃除をして、作業は完了です。

  blogged by 松山一磨 & 小山聡子

堺妙法寺手洗いリノベーション vol.4

いよいよ現実的な工事のスタートです。

解体からのスタートになりますが、解体に先駆けて
①電気配線を絶縁し、仮設電源を設置
②給排水管の閉栓を行います。

解体を進めながら、現状を確認していきます。解体することで、プラン段階ではわからなかった事が多数露出してきます。

状況に合わせて、解体位置や範囲を変更し、より良いプランになるように調整をしていきます。

これは現場でしか出来ない、机上では分からない大変重要な作業です。

工務店は概して、机上寄り(設計重視)か現場寄り(設計も作業をしながら決めていく)のいずれかに偏りがちです。

しかしながら、設計はいわば冒険における地図やコンパスのようなもの。難解な問題を解くための方程式のようなものです。
それ無しにスタートするのは、危険極まりないというのが、真実です。

また現場に偏りがちな工務店は、なんとなく『海賊』か『武者集団』のようなイメージがあります。勇ましく、頼りになりそうですが、結果、力ずくなところも生じてきますので、精密さと繊細さに欠けた完成になる可能性が高いように思います。

やはり、その両方を兼ね備えることが必要だと思います。

blogged by 松山一磨&安井加奈