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京都市伏見区 『Lスタイル-LDKの町家』 リノベーション VOL.2

【※写真をクリックすると、拡大されます。】

 

本日は、築50年以上を経た一軒家の 続報2回目です。

(※初回のブログはコチラ→ VOL.1

伏見稲荷大社にほど近い、青空につつまれた

レトロな住宅街よりお届けします。

 

(before)工事中外観と門

 

下宿として増築された広い二階のある古民家。

増築されるよりもっと以前、おそらくこの家の建築時に造られたと思われる、

京町家を象徴するような杉板と漆喰(しっくい)のコンパクトで

カワイイ歌舞伎門が残っています。

 

修復箇所の点検と解体作業を同時進行で始めました。

最初に、門の点検からご覧ください。

 

(before)修復箇所01 門

 

下宿する学生さん達も出入りした玄関周辺は、

門とお揃いの、屋根や照明のデザインが特徴です。

 

(before)修復箇所02 玄関

 

玄関を入ってすぐ正面に造られた学生さん専用の超急勾配!?の

階段を撤去し、飾り梁や木製手摺を造作。

二階窓から光が入る、吹き抜けのある町家スタイルの玄関にしました。

 

(before → after)玄関の吹き抜け

 

すぐ下では、左官職人による、石飾りの土間づくりが進行しています。

アート系のお施主様ご夫婦のギャラリーとして、作品やアート、小物などを

飾って楽しんでいただける広い玄関スペースの誕生です。

 

(before → after)玄関土間 ギャラリースペース

 

この玄関スペースの掃き出し窓(はきだしまど)に隣接させて、

ぬれ縁(えん)を造作。

庭からお客様を呼び入れたり、座っておしゃべりを楽しめる

昔ながらの憩(いこ)いスペースを造りました。

これは、お施主様からの強いご希望です。

 

(after)玄関スペース ぬれ縁

 

玄関入口には、土間から邸内へ昇り降りしやすいように式台を造作。

下には靴を入れる空間を確保しています。

乱雑に靴が並ぶことを避けるための弊社の標準仕様です。

玄関正面の壁には、おもてなしのアートとして、

唐草模様を版木で刷(す)った唐紙(からかみ)を貼り、

天井は、色違いの和紙を市松模様に貼った格天井(ごうてんじょう)に仕上げました。

 

(after)玄関土間から邸内を見る

 

さぁ続いて、今回の改装のテーマの 『 Lスタイル空間 』 をご案内します。

改修前の一階は「DK空間」と「和の座敷空間」が

壁と階段で遮断され、ぐるっと回って廊下を通って行き来するという

何とも不便な造りになっていました。

これは、和座敷を特別な場所として重んじる昔ながらの間取り設定に

由来するものだと思われます。

 

まず、この遮断している壁を解体撤去しました。

次に、明るい南庭に面した、家事動線から外れていて

一番静かな場所にある小さな座敷を広縁とまとめて一部屋にし、

ご家族がゆったりと集える<リビング空間>に設定。

そのリビングとDKの間にある、畳敷きの和室は残しました。

 

▶ <リビング空間>

▶ <和の座敷空間>

▶ <DK空間>

通常は、この三つの空間が、ちょうど英字のLの形(スタイル)で、

一つの大空間を形成しますが、

その三つの空間を、天井高の引込戸でそれぞれの個別の空間として

間仕切ることができる設計です。

 

この三つが一つにまとまって、『 LスタイルのLDK空間 』を造っています。

『 LスタイルのLDK空間 』 は、段差の無いバリアフリー(Barrier free)の床で

すべての居室と繋(つな)がっており、

「行き止まりのない回遊式の動線 」を実現しています。

 

・Lスタイルへ変身!

 

各部屋を回遊式にぐるぐると移動でき、家事の動きに無駄がないため、

家事や移動の効率もアップ、幼いお子様にも目が届き易くなっています。

南北の庭からの風通しも良くなりました。

こういった大胆な間取りの変更ができるのも、

柱で家を支える日本古来の「在来軸組(ざいらいじくぐみ)工法」で建つ

町家の大きな魅力のひとつかもしれません。

 

(before → after)行き止まり解消へ!回遊式の Lスタイル

 

玄関正面のアンティーク建具の出入口から、<リビング空間> へどうぞ。

このアンティーク建具は、この家にあったものをリメイクして再利用しています!

 

(after)Lスタイルをぐるり 01 リビング〜和の座敷

 

南面のコーナーには、ご主人様専用の大工造りのデスクを製作。

南庭への開口には、スーパーワイドのテラス窓を採用し、

ふんだんに太陽の光と風が取り入れられるように設計されています。

リビングの北面には、アンティークの2枚建具の収納および

床の間をアレンジしたデザインのテレビコーナーを造作。

煤竹(すすたけ)とカーブを描いた漆喰(しっくい)調の垂れ壁は

隣接する和室の床の間とつり合うよう、町家をイメージしたものです。

 

(after)オリジナルのデスクと煤竹と漆喰調の垂れ壁

 

そして、『 LスタイルのLDK空間 』の要所は、各部屋の間仕切り!

壁面収納式の背が高い引戸によって、

建具を開け放ち、普段はL字スタイルの一つの大空間として使用。

建具を閉めれば、個別の部屋が確保できるようになっています。

 

日常は広々と、また自由に仕切っても使える、フリースタイルのLDK空間です。

暮らしてみたら、いろんな生活スタイルの発見があるのではないでしょうか…?

 

(after)壁面収納の間仕切り建具01 リビング〜和の座敷

 

(after)壁面収納の間仕切り建具02 和の座敷〜DK空間

 

<リビング空間>から、隣りの<和の座敷空間>へどうぞ。

当初から存在する和室は、日本伝統の格式あるスタイルがなじみます。

壁面には珪藻土のクロス、床の間には和紙のクロスを施工。

表面のお化粧だけをリメイクし、デザインはそのままに

往時の姿を蘇(よみがえ)らせました。

 

(after)Lスタイルをぐるり 02 和の座敷〜DK空間

 

では、<和室の座敷空間>から、<DK空間>へどうぞ。

L字型の最後のしめくくりは、

水回り( 洗面所・浴室・WC )とガレージへ繋(つな)がる

ダイニング・キッチン(つまりDK空間)です。

 

(after)ダイニング・キッチン全景(=DK空間)

 

『 生活しやすい快適な空間造り 』 を目標に、

水回り全部(洗面所・浴室・WC)およびエントランス (玄関と通用口)の

生活動線を、すべて<DK空間>に直結させました。

家事動線は短く、効率良く!

奥様はもちろん、ご家族全員が、無駄なエネルギーを使わず、

楽に暮らせる生活動線を計画し設計しています。

 

家具もまた、オーダーメイドで造り付けることにより、

デッドスペースが無く能率も良い収納スペースを確保することが可能です。

 

(after)キッチンのカウンター

 

キッチンには、レトロ感が溢(あふ)れるモザイクタイルの

対面キッチンカウンターと収納バックカウンターを造作。

天板は、熱と汚れに強いステンレスです。

カウンターのキッチン側には、2列の調味料棚を製作。

小さいながらも、思った以上に有れば便利で嬉しい装備です!

収納バックカウンター内には、コンセントを設(もう)け、

棚はスライド式となっています。

勿論、無駄なスペースが発生しないように、お手持ちの

器具サイズに合わせて造作。

全て、現場の大工造りです!

 

対面キッチンカウンターに向って立てば、後ろに

冷蔵庫・収納バックカウンター・収納家具(食器棚)が一列に並びます。

では現場の大工造りの、収納家具(食器棚)をご覧ください。

 

(after)キッチンの収納家具(食器棚)

 

エアコン位置として、この収納家具の上部が最良なため、

エアコン取付用下地と一緒に造作しました。

既製品の家具では、上手く納まらない部分です。

扉の取手は、輸入雑貨のお店で購入したもので、弊社の在庫が最後となる逸品です!?

オリジナル家具ならではの、お楽しみです!

 

(after)愛車が見えるダイニング

 

キッチンやダイニングから、車をご覧になれるプランニング。

「家で、室内から愛車を眺めながら、寛(くつろ)ぎたい。」

というのが、ご主人様からのご要望でした。

 

そこで、浴室・洗面所・WC を解体撤去し、後ろに下げることでその空間を確保。

せっかくですので、

愛車をご覧になるための窓や建具を木で製作させて頂きました。

ガレージ内の壁面にも無垢の杉板を施工し、癒しある空間に。

ちなみにこの杉板壁の塗装は、ご主人様と弊社スタッフでの D・I・Y  施工です!!

 

ガレージ内部のコーナーには、車やその他の外回り品を洗うための

流し台スペースも造りました。

屋内ガレージですので、天候を気にすることなく、

作業スペースとしても活用できる空間です。

また、このガレージはDKに直結していますので、お買物の荷物を

楽にキッチンへ取り込むことが可能です。

 

(after)水回り01 洗面室&お風呂場

 

続いて、水回りへどうぞ。

<DK 空間> 直結の、水回り(洗面室・浴室・ WC)です。

ダイニング・キッチンから伸びる北庭への廊下に

洗面室・浴室・WC 、の順で配置設計。

廊下出入口には、大正期から昭和初期の町家で実際に使われていた

アンティーク建具をリメイクして設置しています。

この家の持つ町家イメージとピッタリと寄り添い、違和感なく納まってくれました!

 

WCに施工したホワイト色の花柄模様 (下、中央2枚の写真参照) のクロスは、

奥様からの支給品です。

このクロスの美しい花柄模様を引き立たせるため、他の三方のクロスは、

同系のホワイト無地のクロスを施工させて頂きました。

 

(after)水回り02 WC

 

 

最後に、二階について簡単にご紹介します。

断熱ペアガラスのサッシ窓への取り替えがメインの工事です。

以前、下宿部屋として増築され多くの部屋を有する二階フロアー。

全部で5部屋あります。

各窓には、以前の下宿増築工事の時のものだと思われる、

鉄製の窓建具が入っていました。

重く、動きも悪くなっており、断熱面でも問題があったので

全て交換。

窓さえ直せば、各部屋は普通に使用が可能ですし、

施主様自身のD・I ・Y  施工でのリフォームも可能な状態です。

 

南側の古い鉄製のバルコニーは、このブログ撮影後に施主様が塗装をされ、

弊社大工の一人と共に、床と屋根の工事をされてリフォームが完成しています!!

 

玄関の下宿生用の階段を撤去し造った、玄関吹き抜けの上部には、

木製格子の手摺を造作。二階から玄関を見下ろすことが可能です。

幼児が登れないよう、縦格子とし幾分高いめに設定しました。

 

・二階リフォーム部分について

 

今回のリノベーションには、

塗装を中心に、施主であるご主人様に工事に参加していただきました。

勿論弊社スタッフのレクチャー(Lecture)付き!?です。

 

D・I・Y のススメ!?(寸法採寸/家具塗装)

 

作業のほとんどが経験の無いことで大変だったと思いますが、

終始、にこやかに、気持ち良く参加してくださったご主人様には、

この場をお借りしまして、あらためて御礼申し上げます。

ご協力、本当に有り難う御座いました m(_ _)m

そして、誠にお疲れさまで御座いました。

 

〜伏見の光景をどうぞ〜

 

次回VOL.3では、完成写真をお届けいたします。

とりわけ、大きくイメージの変わった町家スタイルの外観を

ご覧頂きたいと思っております!!

 

ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

 

古色メタル製のアンティークな取手見つけました(^O^)/

ちょっとした家具の引き出しや扉に取り付けられる古色メタル製のアンティークな取手を見つけました!

簡単に見つかりそうで、実はなかなか無い勝負取手?! (^_^;)

実際に採用しましたが、なかなか万能な良い取手ではないかなーっと思うのですが…

いかがでしょうか?

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Blogged by  松山 一磨(いつま)

キッチン改造計画 その4 完成です!!

キッチン改造計画 その1、2、3に引き続いてその4の完成報告です。

ついに完成しました!!

天板は、タモの無垢板。 タイルは、素焼の花柄をモチーフした個性的なモザイクタイル。 クロスは、珪藻土塗り込みのもの。 天板の塗装も天然素材のオイルフィニッシュとこだわりました。

リビング側キッチン寄りの壁面に造作した格子が全体のバランスを引き締めてくれたように思います。

キッチン側の収納機能には、とことんこだわりました!

①狭い空間なので単純なL型カウンターを避けて、収納できる可動式カウンターを採用。 扉は、脚の膝(ひざ)で押すと開くようにプッシュ式にしました。 両手がふさがった時に便利かもしれませんね。

②ゴミ箱ラックもキャスターを付けて可動式に。 手軽に出し入れ可能です。

③作業天板の正面上部に調味料スペースとコンセンを設置。

④取手は、アンティーク調の古色メタル製を採用しました。

大満足のカウンターが完成です!!

工事中、付きっきりで最後までご協力を惜しまず頑張ってくださったお客様に、感謝の思いでいっぱいです。

良い工事は、このお客様の熱い思いと、こだわり、そしてご協力があって初めてできるものだとあらためて感じる工事でした。

 

お持ちの食卓テーブルをセットして完成です。

キッチン寄りに造作した格子が全体のバランスを引き締めてくれたように思います。

花柄モチーフのモザイクタイル。 素焼の素材感の品の良さに大満足です!!

収納&機能のアイデアが満載のキッチン作業側スペース

収納可能な可動式カウンター。 名付けて『どこでもカウンター!!』 弊社プランナー新造のアイデアです。

扉の中は、大容量の収納スペース。 扉は、脚の膝(ひざ)で押すと開くプッシュ式。 両手がふさがった時に便利ですね。

ゴミ箱ラックもキャスター付きの可動式にしました。

 

全体のイメージに合わせて、アンティーク調古色メタル製の取手を採用。 ディーテイルにこだわりました。 このこだわりがとても大切だと思います。

 

キャンディーみたいな可愛い取手ですね。 でも私、この取手にニックネームを付けました! 『バカボン取手』 ?!

カウンター作業天板の正面すぐ上に有る調味料スペース。 コンセントも付けました。

Blogged by  松山 一磨(いつま)