『 最近の記事 』

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.5 【 完成編 前半 】

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(after)門周辺 〜01〜

 

杉皮塀のある町家、ついに完成編、前半をお届けします!!

(※過去ブログはコチラ→ VOL.1・ VOL.2VOL.3・ VOL.4

では、お邪魔いたします! m(_ _)m

 

(after)門周辺 〜02〜

 

最初の改修は、傷んだ歌舞伎門と杉皮塀からスタート。

左は従来の塀、右は弊社にて新しく造作した塀です。

 

(after)左/門から、右/玄関前から

 

背の高さで両側に濃い色があると圧迫感があるため、

設計デザイン担当者のアイデアで、

杉皮塀の一部を、白い漆喰壁にしました。

下部も従来より高めの位置で杉皮をカット。

結果的に、水仕舞いも良好に。

 

(after)玄関周り 〜01〜

 

左手の表玄関は格式ある昔のスタイルのままで残し、

右手の裏玄関を通常使う玄関として、リフォームしました。

 

(after)玄関周り 〜02〜

 

玄関を一歩入ると…

 

(after)裏玄関 兼 勝手口の天井

 

照明のアンティーク風ガラスシェードから反射し、

光の断片があちこちに漂います。

 

(after)玄関土間のモザイクタイル完成

 

(after)モザイクタイルのアップ

 

足元の土間には、カラフルな陶器製モザイクタイルを

埋め込みました。

 

(after)玄関内部

 

広い式台の上に、大容量の下駄箱をオーダーメイドし、

室内との境にはアンティーク戸を設置。

式台のフローリングは、フランス製の松材で波型加工された珍しいもの。

 

(after)玄関から見る

 

町家独特の天井の低さを解消するため、

玄関ホールから室内に入ってすぐのところに位置するリビングの天井を吹きぬけにしています。

見えている建具はすべて、大正から昭和初期に製作されたアンティーク建具を再利用したものです。

ちなみに左手のガラス戸は、この家の二階に有ったものを移動し、再利用しています。

 

(after)アンティーク照明

 

室内や廊下、トイレにも、アンティークをイメージした照明を

ふんだんに取り入れました。

 

(after)キッチン 〜01〜

 

リビングの隣は、ダイニングキッチン。

既存のシステムキッチンの収納部をリフォームし、

木目調に。

取手はすべてメタル製取手にリメイクしました。

壁面にはレトロイメージの陶器製モザイクタイルを施工しました。

 

(after)キッチン 〜02〜

 

中央にあるステンレス天板のキッチンカウンターは、

弊社のオーダーメイドで造作したもの。

左の大きなアンティークガラスの飾り窓からは、

玄関からの出入りはもちろん、

リビングにいる家族の気配を感じられ、

反対側のご家族もキッチン内の様子を知ることができます。

 

(after)キッチン 〜03〜

 

カウンターは、リビングからのお客様の視線を隠す

衝立(ついたて)でもあります。

背面の棚には、炊飯器や魔法瓶等を収納できるよう

にスライド棚を2カ所もうけ、コンセントを設置。

パンをこねたり、軽食をとったり、料理本を開いたり…

毎日楽しみながら使っていただいているご様子です。

 

さて、次回ブログでは、吹きぬけのリビングへ戻り、先をご案内いたします。

続編の「完成編!後半」 お楽しみに!!

 

弊社では、経験をつんだ設計デザイン担当者が改装中に

現場での造作の仕上がりをチェックし、吟味します。

そのたびに、色彩と空間とお客様がご要望されている

インテリアのイメージを再検討し、

ベストな状態へと修正する体制です。

完成編!後半でも、これまでご案内した工事中の風景が

どのように変化してくか、ご確認していただけます。

こちらの『杉皮塀のある町家』 は、弊社のホームページの

『ピックアップ施工事例』で ’ before & after ‘ を比較した

写真記事としてまとめてあります。

合わせてご覧ください。

 

「ピックアップ施工例」

(→ コチラ http://www.ginyusya.com/pickup/detail_08.html)

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.3

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

いつのまにやら秋めいて、涼風が心地よい季節となりました。

本日は、改築中の杉皮塀のある町家へ、ご案内いたしましょう。

※過去ブログはコチラ→ VOL.1・ VOL.2

 

〜 杉皮塀のある前道 〜

 

塀の修復から始まった、改築中のこちらの現場。

塀ぎわの山石は、川の渓流を思わせる涼やかさで、

植えられたグリーン達も成長し、元気いっぱいです。

 

〜 塀ぎわのグリーン 〜

 

完成直後の塀の様子をご報告したのが約4ヶ月半前、

家の解体をお知らせしたのが約3ヶ月前のことでした。

 

早速、改築進行中の家屋をご覧ください。

玄関土間から1歩進みますと…

 

ちなみに以前はこうでした。

 

(before)リフォーム前 玄関まわり

 

それがこうなりました。

 

(工事中)玄関土間より内部を見る

 

夕方の工事現場の室内が、明るいのはなぜ?

 

…スカッと2階屋根まで見わたせる、

吹きぬけのリビングルームなのです。

 

(工事中)吹きぬけを見上げる

 

1階と2階の天井を両方とも撤去し、横に並ぶ梁と

屋根の勾配が美しい空間を造りました。

新たにしつらえた天窓からは、光が降り注ぎます。

 

(工事中)天窓から降り注ぐ光

 

さらに、少しでも多くの外光を室内へと導くため、

天窓の窓枠は、室内側が広いラッパ形でオーダーメイド。

 

(工事中)吹きぬけの屋根の天窓

 

エコな照明法のひとつとして提案させていただき、

キッチンにも、新たに天窓をもうけました。

 

(工事中)キッチンの天井にも天窓

 

「明るい吹きぬけなんて!京町家らしくない気がする。」

とおっしゃる方もおられるのではないでしょうか?

 

ご安心ください。

京都の町家には必ず、大きな吹きぬけがありました。

台所です。

おくどさん(漢字だとお竈さん、つまりカマド)の煙と熱を外へ

逃がすため、また、料理する手元を明るくするためです。

 

現代のキッチンに、そうした配慮は必要はありません。

設計デザイン担当者の提案により、明るい吹きぬけは

「家族が集う明るいリビング」へと再生されました。

 

〜 緑の庭と、奥の縁側 〜

 

改築中であっても、独特のやわらかな質感を感じさせる

大きくて立派で、静かな和のお屋敷です。

 

〜 奥の縁側の、味のある和の窓 〜

 

工事中も定期的に設計デザイン担当者が現場へ訪れ、

ひとつひとつ仕上がりをチェックし、色やサイズ

などを改めて吟味していきます。

お客様がご希望されているイメージを再構成し、

よりベストな状態へと修正していくのです。

 

弊社の大工さん・職人さん・設計デザイン担当者が

お互いに才能を認め合い、最高レベルの仕事を目指して

取り組んでおります!

 

しばらく、階段製作や小書斎の木工工事が続きそうです。

加えられてゆく設計デザインの新発想に、ご期待ください。

 

ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

京都市南区『子供を育てやすい町家』改修VOL.4 完成です!!

京都市南区『子供を育てやすい町家』の完成編です。

私たちが昨年施工させていただいた建築の中で代表的なものだったと思います。 この建築のプランナーを務めた新造は、一度に複数の建築の担当をしません。 『 1棟入魂 』 が彼女の信条です。 現場に通う頻度も高く、その拘(こだわ)りは、最後の最後まで続きます。 共に働く私ですら、その姿勢には敬服の念を感じています。

今回のこの建築は、今から子育てをされるまだお若いご夫妻の新居として、プランさせていただきました。 引渡しに際して、その施主様ご夫妻が夕方暗くなろうとする中で、いつまでもその外観を眺め続けていらした姿に、胸が熱くなりました。 建築をしていて、一番嬉しい瞬間です。

『 良いものを造りたい 』 『 美しいものを造りたい 』 『 可愛いと喜んでもらえるものを造りたい 』 と常に思っています。

プロでなくても、とてもセンスが良く、素晴らしいご提案をしてくださる施主様がいらっしゃることは、事実です。 ただ  『  こんな家を造りたい 』  という思いを実際に形にしていくことは、容易なことではありません。 細かいバランスやディーテイル(細かいデザインや納め方)を考慮しながら、トータルに考えて建築を進めることは、たいへん難しく、お客様にその一つ一つを聞いて、施工してしまうと、『 お客様のイメージされていた欲しい形 』 とは、『 違う物 』 ができてしまうことの方が一般的だと思います。 だからこそ建築の専門家としての私たちの存在価値が有るのだと信じています。

時間をかけて施主様の 『 欲しい形 』 をヒヤリング(じっくりとお客様のお話を聞くこと)を通して理解していきます。 そしてそのイメージをできる限り正確に捉(とら)えて、私たちのアイデアやデザインをプラスした形でプランニングを制作します。

2つのプランを提出することはありません。 『 最善を尽くした1プラン 』 をご提案しています。

施主様の言われるがままをプランするという設計士がいますが、私たちは敢(あ)えて、イメージのみを聞いた上で、細かい部分までご提案しています。 そこにはある意味、逃げ場のないリスクが存在します。  それでも、そうでなければ  『良い物 』 はできないと考えています。

この 『 子供を育てやすい町家 』 をご発注してくださいました施主様は、初めにご提出したプラン通りの内容で、ほぼそのまま建築をさせてくださいました。 だからこそ、私もプランナーもなおさらに、最後の最後までこの家に 『 一棟入魂 』 で臨めたのかもしれません。

ここまで信頼してくださった施主様には、感謝の念でいっぱいです。 このことは、一生涯忘れられないことだと思っております。

以下は、今の私達の精一杯の建築です。

勿論、これからなおいっそう精進して、さらに良い建築を志し続けます。  末永いご贔屓のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

Blogged by 松山 一磨(いつま)

 

左から玄関、自転車スペース、子供たちのフリースペース。 大きく見えますが間口は5mです。

 

手前は子供たちのフリースペースです。 ここからも出入りできます。 汚れた手足を表のモザイク造りの洗い場で綺麗にしてから室内へ・・・

 

もともとこの建物に有ったメタル製の花台です。 とてもお洒落な形をしています。 錆を落とし、不要な部分は撤去し、さらに溶接補強して生まれ変わりました!! 次の30年、また頑張ってください。

 

竪の格子で揃えたデザインです。 それぞれの格子のサイズを変えることでバランスに変化がついています。 この『バランスの変化』がある意味『美しさ』でもあると感じています。

 

玄関の片引き戸を空けた状態です。 表側の土間のデザインをそのまま玄関内部まで連続させています。

 

玄関網戸も木製で製作しました。 ネットはステンレスで耐久性をアップさせる仕様にしています。

 

一見お茶室風の3帖間。 子供たちの憩いの場。 ちょっとした来客時など、奥のリビングでなくここでお話することも可能です。

 

玄関収納はオーダー製のものを誂(あつら)えました。 飾り台は銀杏(いちょう)の無垢材。 表の路(みち)から格子のFIXを通して、飾ったお花がさり気無く見える設計になっています。

 

施主様拘(こだわ)りの玄関収納内部。 何を置くかを決めた上での設計と施工です。 電動自転車のバッテリー充電用のコンセントも設置してあります。

 

玄関廊下。 このフローリングは、フランス製チョウナ加工の無垢材です。 左はLDK入口。 昭和初期製作のアンティーク建具です。 ガラスを装着し、塗装をして再登板!! 正面のお部屋は子供のフリースペースの玄関からの様子です。 一見お茶室っぽい感じではありませんか?

 

お茶室をイメージした子供たちのためのフリースペース。 天井は格(ごう)天井にして、色の違う和紙調のクロスを市松仕様で施工。 床面は畳ですが、和紙をコーティングした色褪(あ)せしない、汚れの拭き取りやすい素材です。

 

玄関廊下からリビングを臨んだ様子。 右側は2階への階段室扉。 左はキッチンですが、来客者からキッチンが丸見えにならないように格子のパーテーションをつけました。 また幼児が自由にキッチンに入れないように鍵つきの格子扉を設置しています。

 

リビング内部から見た入口付近の様子。 アンティーク建具が町家の雰囲気を醸し出してくれます。 床は松の無垢フローリング。 塗装は柿渋+ベンガラの日本古来からの天然素材です。

 

LDKの一番奥、増築して天井を高くしたもっとも寛(くつろ)げるスペースに家族が憩(いこ)うリビングゾーンを配置しました。 その真上には大型の天窓が有ります。

 

東西に窓の無い町家。 天窓は明かりを取り入れる最強のパーツです。 天井は構造材を出してナチュラルな雰囲気を演出してみました。

 

奥様のご希望でキッチンは家族の顔が見える対面キッチンに。 風通しを考えて窓を多めに設置しています。 これも東西面に窓が無いことへの対策です。

 

モザイクタイル造りのキッチンカウンター。 LDKの中心に位置する、この町家の新たな顔の一つとして、製作しました。

 

レトロ感満点のモザイクタイル。 『 古いが新しい 』 という言葉がぴったりなモザイクタイル。 弊社お勧め素材の優等生です。

 

弊社では、取り壊された町家から回収された江戸時代~昭和初期製作のアンティーク建具を好んで再利用しています。 新品では決して表現できない味わい深さがあります。 これもまた弊社お勧め素材の優等生です。