『 最近の記事 』

大津市一里山『釜ゆでパスタ&甘味 凛じろう 和モダンのリノベーション』vol.1

吟優舎は、住居のリノベーションだけでなく、店舗やゲストハウスといった施設リノベーションのご依頼も大変多く承っています。

今回のご依頼は、大津市の商業施設「FOLEO」の中にあるパスタ店「凜じろう」様です。

以前、系列店である「ゆる音家」様の店内改装をお任せいただいたことがきっかけとなりました。

こちらがそのゆる音家様の写真です。
地元山科ではとても人気のあるお店で、軒下の「ばったり床几(しょうぎ)風」のベンチあたりに行列ができることもしばしば。

ゆる音家様のリノベーションでは、カウンターにタイルを貼ったり

アンティーク建具を入れたり

お手洗いを直したりといった施工をさせていただきました。
その工事をきっかけに、今回の店舗改装のご依頼です。

「凛じろう」様が位置する大津市一里山から南草津は、全国的に見ても大変人気の住宅地。

子育て世代の30〜40代のファミリー層が多く、急激に人口が増えたエリアです。そんな地元のお客様に選んでいただけるよう、親近感がありながらも上質な和モダンのデザインをご提案いたしました。

改修前の店舗はとても素敵ですが「和」の雰囲気はほとんどありません。

凜じろう様は、お箸と蓮華でいただく種類豊富な和パスタと自家製わらび餅の専門店です。

そのコンセプトに合わせて、和の感性が光る落ち着きのある空間へと内装を施してまいります。

他店舗の営業の邪魔にならないよう、工事のほとんどは夜間工事で行います。

担当者一同、気合を入れております。続報をご期待ください!

blogged by 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.5

京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』、続報です。

前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3 vol.4

今回は、工事現場から補強の様子を中心にお伝えします。

現場に、解体で取り除かれたボロボロの柱が置かれていました。 これは床下の木材のひとつ「大引(おおびき)」です。

このように家を支える土台となる部分です。

Vol.3でシロアリの被害についてお伝えしましたが、この大引きも深刻なシロアリの被害を受けていました。

築年数の古いお家は、時代の流れとともに周りの環境が変化し、建築当時の地盤より床下が低くなっていることがあります。そのため床下に水が流れ込んで湿気がちでシロアリにとって格好の環境となり、被害が大きくなったのでしょう。

今回のリノベーションでは、全体に防湿シートを敷き込んだ上でコンクリート土間を打ち、その上に基礎を作ります。シロアリが上がってくることはできなくなるので、新しいお家ではシロアリの被害はずいぶんと減ることでしょう。(vol.3参照)

こちらも、シロアリにより破損された柱です。

シロアリは水のあるところを起点にして1mほどしか移動できませんが、屋根から雨漏りがあると、どこまでも登ってくるので被害が甚大になります。

このように基礎を作って土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぐことで補強を行いました。

広報担当者、現場の大工に話を聞きました。 「こちらのお宅のシロアリの被害、ひどかったですか?」

「あちこちボロボロでしたわ。けど医者の手術のようにお腹を開いてみて『手の施しようがありませんでした』って閉じるわけにはいきません。シロアリの被害がひどかった部分をぜんぶ取り除くのに時間がかかって、なかなか大工道具を持たせてもらえませんわ」

冗談まじりにそう言う大工でしたが、やはり全体的にシロアリの被害があったようです。 弊社の熟練の大工の手によって傷んだ部分が取り除かれ、補強を行います。 「任しといてください」と頼もしい言葉が返ってきました。

さて、家が建ってしまってからは見えなくなる部分をご紹介します。

こちらは、構造用合板で柱と柱、柱と梁を繋いだ「耐力壁」です。

使用している「構造用合板」は、薄くスライスした板を重ねて一枚の合板にしているので、反りにくく強度が高いという特徴があります。壁の下地に使うことで地震に強い壁に仕上がります。

仕上げをすると見えなくなりますが、この処理をするとしないでは耐震効果に雲泥の差があるので、欠かせない部分です。

これらは特に補強が必要な場所に施工します。その判断は物件ごとに検討し、現場担当大工と弊社所長が行っています。

リノベーションにあたり、仮の柱を入れた写真です。

今回のリノベーションでは、庭に面した窓の部分をより広く見せるよう、柱を何本か抜きました。全体が仕上がるまで、崩れないように仮の柱(写真の斜めになった柱)をジャッキで取り付けています。

濡れ縁(壁や雨戸の外側につくられた縁側)の上部分にあたる、化粧軒天です。

シンプルな軒天のお家が多い中、和風建築では化粧垂木(だるき)を取り付けて美しく仕上げることも多々あります。

今回のリノベーションでも、奥行き135cmの長めの軒を作り、その軒天(軒裏)は創意工夫をこらし美しく仕上げました。大工の熟練の技が生きた部分ではないでしょうか。

まだまだこれから、問題ある部分を補強していきます。 続報をお待ちください!

blogged by 松山一磨 & 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.4

京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。続報をお届けします。

前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3

弊社スタッフ、施主様ご夫妻とともに京都御池にあるタカラスタンダードショールームを訪れました。

ここは、キッチンや浴室などに設置する製品が展示されているショールーム。専属アドバイザーによる説明もあり、製品を見たり触れたりすることで、使用感を確かめることができます。

弊社はサイズ感やデザイン面の視点から、施主様の製品選びをお手伝いをします。

施主様は、シックな木調デザインのシステムキッチン、浴室暖房や乾燥機など機能が充実したホーローのタカラスタンドード製の浴室を選ばれました。

新しく生まれ変わる家に、これらの製品が実際に設置された様子が早く見てみたい!とワクワクした広報担当者です。

ショールームを後にした一行。

施主様とともに現場へと向かい、工事の様子を見て回りました。

最初の回(vol.1)で前回お伝えしたキッチンの上部です。

閉じられていた天井を開けると… 往時を偲ばせる、通り庭上部の火袋と高窓が現れました!

こちらは、改修前のキッチン。吹き抜け部分が閉じられていたので、ずいぶん印象が異なります。

子どもの頃この家にお住まいだった、施主である奥様。

「あの高窓、あるのは覚えてました。途中で天井を閉じたんです。古い家だから、家の中は何回も直してたんですよ」

施主様宅のように、昔ながらの町家はその後の改修で天井を閉じてしまうことが多々あります。

今回のリノベーションでは、隠されていたこの火袋を復元し、窓ガラスはペアガラスに交換することで光も取り入れます。

元々の火袋を復元することで、町家独特の天井の低さを解消した広々とした空間が出来上がることでしょう。

解体したことで、壁や柱などこれまで見えていなかったところがあらわになっています。

「すごいな、こんなんでよう建ってたな、ボロボロやわ」とご主人。

ここに補修を加えながら、耐久性もデザイン性も優れた家へと生まれ変わらせるのが吟優舎の仕事。気合いが入ります。

「子どもの頃の思い出が詰まってるから…懐かしいわ」と家中を見つめる奥様。

「きれいになるのが楽しみですね」とお声をかけると「本当にね」と頷かれました。

一体どんな家に生まれ変わるのでしょうか。広報担当者もとても楽しみです。

blogged by 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.3

京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。引き続き解体現場からお届けします。

前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2

今回のリノベーションにおいて、ある問題が見つかりました。
シロアリの被害が深刻です。

写真は、改修前の家を外から見たところです。

家の横が法面になっていて、周りよりも家の方が地盤が低くなっています。この地形のせいで雨水が家の床下に流れ込み、シロアリにとって格好の湿気がちな環境になったと思われます。

ご覧のように、柱の被害も甚大です。

広報担当者、他にもシロアリの被害を見ようと家の中を見て回っていると…

「足元に気をつけてくださいね!床がだいぶシロアリにやられてしまっているので」。 瓦礫を運ぶ職人から声がかかりました。

足元が危ないので板でカバーしているとのこと。

「僕らも、何回も足がハマったんですわ。めくりましょうか?」

お願いします、と開けてもらうと…

床下の木がボロボロになっていました。

シロアリの性質として、水のあるところを起点にして1mほどしか移動できません。 ここまで被害があるということは、湿気の影響をかなり受けていたと考えられます。

特にひどい被害が見られたのが、庭に面した柱です。

約90年前の建物なので、家の基礎らしいものがありません。柱が地面に接している分、被害がひどくなったのでしょう。

そこで施主様とお話をし、当初の計画にはありませんでしたが、床下全体に防湿シートを敷き込んだ上で、コンクリート土間を全面に打つことになりました。

これでシロアリが上がってくることはできなくなるので、床下に水が流れ込むことがあっても被害を最小限に食い止めることができます。

こちらが土間が打たれた床下です。

ボロボロになっていた柱はこのように新しくなりました。 基礎を作り土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぎました。

「シロアリ対策はとても重要です。ひどい時には通し柱が丸ごと被害を受けることがあります。家の耐久性にも関わってくるので、水捌けは非常に大事だなと感じる部分です」と弊社所長。

年月を経たお家をリノベーションすることが多い吟優舎。

シロアリ対策においても、将来を見据えたご提案と、しっかりした施工を追求しています。

blogged by 松山一磨 & 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.2

弊社所長と広報担当者、真夏のある日、解体工事現場にやってきました。 今年はとにかく猛暑。少し動くだけでも汗がダラダラ流れるような中、職人たちが解体作業を頑張っています。

ほぼ柱と壁だけになった室内。家の構造がよくわかります。

両サイドには窓がなく、玄関付近に立つと奥の裏庭の景色が目に飛び込んできます。

前回お伝えしたように、もともとは町家の形をしていたこの家。室内には窓がないので、どうしても暗めになってしまうのが町家の特徴です。

そこで今回のリフォームポイントのひとつが「庭に面した窓を景観の中心に据えること」。

窓に面した柱を抜いて、できるだけ窓を広く開口し1枚もののペアガラスを採用します。建具は引き込み式にすることで、最大限に光を取り入れる計画です。

「よく旅館などでお部屋に入ると、部屋は陰影があるけれど庭が明るく見えて素晴らしいですよね。その感動をこちらで再現しようと思うんです」と弊社所長。

玄関を入った時にお庭がパッと目に飛び込んできて、この家の一番のビューポイントになるに違いありません。

そう話しているうちに、職人たちの手作業でバスタブが取り除かれていました。

「お風呂が寒いのは嫌」とおっしゃっていた施主様。新しいバスルームは、断熱材で全体が覆われたシスバスに200Vの浴室暖房器を設置したホーローのタカラスタンダード製。お手入れも楽々です。

また、横長窓が付く予定ですので、裏庭を見ながらのバスタイムがお楽しみいただけることでしょう。

ここでちょっとクイズです。

一体これは何でしょう?

答えは、超強力なエアコン!

工事現場はとても暑いので、頑張る職人たちのために、このように吟優舎のエアコンと冷蔵庫を現場に差し入れしています。

暑い中での作業、ご苦労様です。

blogged by 松山一磨 & 黒川京子