『 最近の記事 』
少し時間が空いてしまいましたが、加茂街道「賀茂川沿いに佇む京町家リノベーション」の続きをお届けいたします。
街路樹の緑と賀茂川の気配がすぐそばに感じられ、ふと時間が緩むような、穏やかさに包まれた京町家。
解体工事を終え、現場では次の工程へと作業が進んでいます。
前回のお話はこちら→
vol.1
vol.2
吟優舎の建築幕を掲げた現場
強い日差しのなか、大屋根(2階上)の葺き替え工事が行われました。
吟優舎の建築幕が、光を受けながら現場を静かに見守ります。
未来へ繋がる京町家の屋根
京町家の屋根には、いぶし銀の「和瓦」が用いられることが一般的です。
その施工法は、かつては瓦を土で固定する「土葺き」が主流でしたが、粘土質の葺き土は重量があるため、屋根全体に相応の負担をかけてしまいます。
阪神・淡路大震災以降、町家の屋根にも軽量化と耐震性が求められるようになりました。
現在では、瓦桟(かわらざん・瓦を受け止める下地材)に瓦を掛け、釘で固定する「桟葺き(さんぶき)」が、和瓦屋根の標準的な工法となっています。
「伝統を守りながら、現代における安全性を追求する」。
今回の工事も、その理念に基づいて進めています。
解体中の現場の様子
京町家を守る屋根葺き替えの工程
①古い屋根材の撤去
長年この町家を守ってきた瓦や屋根材を、一枚一枚、丁寧に取り外していきます。古い葺き土が残っている場合は撤去し、昔の下地材である杉皮(通称トントン)が確認された場合は、こちらも取り除きます。下地をあらためて確認することで、傷みや雨漏りの原因を根本から整えます。
②新しい下地づくり
垂木の状態を確認しながら、12mm厚の野地板(のじいた)を隙間なく張り込んでいきます。既存の野地板がある場合は、その上から重ねて張り、現行基準に適した屋根下地へ更新します。屋根を支える、構造上最も重要な工程です。
③防水シートの敷設
野地板の上に、雨水の侵入を防ぐルーフィングと呼ばれる防水シートを丁寧に施工します。屋根の耐久性を大きく左右する大切な役割を担います。
④瓦桟を用いた和瓦の施工
ルーフィングの上に瓦桟(かわらざん)を設置し、その桟に和瓦を一枚ずつ掛けていきます。瓦にはあらかじめ釘穴が設けられており、釘やビスで確実に固定することで、強風や地震によるズレを抑え、軽量で安定した屋根構造となります。
落ち着きと格式を備えた屋根へ
大屋根の葺き替え
安全性を追求した、いぶし瓦の大屋根へ。
銀灰色の瓦が整然と連なる町家の屋根は、すっきりとした佇まいの中に格調を宿し、住まい全体の表情を引き締めています。
一つ一つの工程を大切にしながら、現場は順調に歩みを進めています。
次回も、工事についてお伝えしていきます。
blogged by 黒川京子
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2026年1月19日 5:44 PM |
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施工前の完成イメージスケッチ
京都市上京区。京都御所と同志社大学にほど近く、歴史の静けさと学生街の活気が心地よく混ざり合うこの地に、新しい住まいが誕生しました。
吟優舎は主にリノベーションを手がける工務店ですが、お客様のご要望により、新築も行っています。
本日は、施主様へのお引き渡しの日。
東京にお住まいの施主様に、完成した姿をご覧いただくのはこれが初めてです。
解体前
完成後
初めて迎える「完成の景色」
工事中は写真や動画で進捗をご確認いただいていましたが、素材の手触りや空間の雰囲気は、やはり現地でしか味わえないものです。
玄関の扉が開き、あらためて新居に足を踏み入れられた瞬間、「すごい…!」「わあ…!」という驚きと喜びの声がこぼれました。その表情にふれたとき、私たちもまた胸が熱くなります。
One Teamで受け継ぐ想い
この日は、吟優舎所長の松山をはじめ、現場管理者、設計プランナー、チーフコーディネーター(チームリーダー)、広報スタッフと、チームスタッフが揃いました。
家庭用エレベーターは専門業者様による操作説明。住まいの「これからの時間」をともに見守るための大切な工程です。
人が集い、思いを育む家
この新築は、施主様の邸宅兼・ご友人との時間を楽しむプライベートスペース。
2階には防音室も設けられています。3階には個室とともに、シャワー室を設けました。
3階の窓には京町家らしい格子がついていますが、非常時には外せるように工夫されています。
格子を開け放つと、目前にはお寺の屋根が広がり、京都らしい情緒ある風景が姿を見せます。
家が、暮らしとつながる瞬間
「いかがですか?」とお尋ねすると、にっこりと微笑んでくださった施主様。
その嬉しそうな笑顔にふれた瞬間、「この工事に携わってよかった」と、心から思えます。
「吟優舎 One Team」で造り上げた住まいが、ここから施主様の新しい暮らしへと静かにつながっていく…その節目に立ち会えることが、何よりの励みであり、これまでのすべてが報われる瞬間です。
最後になりましたが、この住まいづくりの機会をお任せくださった施主様に、心より感謝申し上げます。ご家族の思い出が息づくこの地に、新たなお住まいが形となったことを、私たちも大変嬉しく思っております。
このお住まいが、これから多くの人が集い、時を重ねていく場となりますように。今後とも末永くお付き合いいただけましたら幸いです。
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2025年12月11日 5:27 PM |
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吟優舎「OneTeam」の連携が創る 100年先も美しい京町家
施主様の大切なお住まいをより良いものにするために、吟優舎が大切にしていること。それは「人と人との信頼」、そしてそれを支える「チームの密な連携」です。
京町家リノベーションは、古い建物の持つ歴史を尊重しながら、現代の美しさと機能性を新たに加える繊細な作業です。
吟優舎では、施主様お一人おひとりの理想に寄り添うため、
担当現場ごとに、弊社現場管理者+設計プランナー+チーフコーディネーター(チームリーダー)が、熟練した職人さんとともに『One team』を組みます。
このチームが細やかな連絡を取り合うことで、施主様の細やかなご要望から職人の手の動きまでを一つにし、ご満足いただける揺るぎない品質を目指しています。
「小さな気づき」を 吟優舎の財産に
現場ごとの連携に加え、私たちは社員全員が集まる定例ミーティングも大切にしています。
現場の進捗、職人さんのこと、設計のこと、そして施主様からいただいた「ちょっとしたお声」まで、さまざまな立場からの情報をスタッフ全員で分かち合っています。
先日の全体ミーティングでは、所長から「小さな気づきや課題も全員で共有し、未来につなげていきましょう」という言葉がありました。
最高の仕上がりを目指す過程で、時に予期せぬ課題に直面することもあります。
しかし、それを個人の問題で終わらせず、チーム全員の知恵と力で検証し、解決策を見出すこと。その姿勢が、施主様お一人おひとりの夢を形にする、私たちの日々の務めだと考えています。
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2025年11月26日 4:46 PM |
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冠木門のある路地奥の京町家
通りの奥に、そっと灯るあかり。
そこに佇むのは、吟優舎がリノベーションを手がけた京町家です。
施主様は現在、東京にお住まい。
長年ご家族が暮らしてこられた大切なこの一軒を、町家ショールームとしてお貸しくださっています。
今回は、玄関と冠木門の改修の様子をご紹介いたします。
暮らしの動線に寄り添う「裏玄関」
BEFORE
こちらは、日々の暮らしで使われてきた「内玄関」。吟優舎では、表玄関に対して「裏玄関」と呼んでいます。
AFTER
AFTER
「裏玄関」は通り庭へ通じ、台所・浴室・洗面など、水まわりへとまっすぐに繋がる動線。
日常の暮らしを支える要として、静かに息づいています。
お客様を迎える「表玄関」
BEFORE
こちらは、座敷へと続く「表玄関」。
訪れる人を迎え入れる、この家の「顔」です。
改修前は、靴脱ぎ場が外に設けられていましたが、リノベーションでは玄関戸を外側へと移設。
もともと二畳の和室だった空間を新たに玄関へと再構成し、床には、味わい深いなぐり調のフローリングを採用しました。
和の趣を残しつつも、現代の暮らしに馴染む玄関に。お客様を迎える空間に、凛とした佇まいが生まれました。
AFTER
冠木門と路地の風情
ショールームとしての新たな顔にふさわしく、
冠木門もあわせてリフォームしました。
BEFORE
製作中
AFTER
冠木門をくぐると、
細い路地がまっすぐ玄関へと伸びています。
塀に囲まれたその小径は、
まるで別世界へ誘うアプローチ。
AFTER
大通りの喧騒を離れた、京町家らしい静けさと品のある佇まいが感じられます。
AFTER
新しく生まれ変わった冠木門の向こうに、
静かな時間が流れています。
この場所を快くお貸しくださっているN様に、
心より感謝申し上げます。
施主様のお声もぜひご覧ください
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
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2025年11月13日 9:33 AM |
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猫と町家とアンティーク「好きなものと育つ家」 長岡京市Y様邸
リノベーションは終わりではなく、始まりなのかもしれません。
年月を重ね、手をかけながら、自分らしい暮らしへと育っていく。
そんな過程こそが「家づくりの醍醐味」だと気づかされます。
2019年にリノベーションさせていただいたY様邸を再訪。
施主様の「その後の暮らし」を拝見する機会は、そう多くはありません。
町家風の外観。
玄関をくぐると──
わあ、素敵。
町家テイストとアンティーク、
そしてアジアの逸品が溶け合い、
趣あふれる世界が広がっていました。
ブリティッシュショートヘアの姉妹猫が、
のんびりとお出迎えしてくれます。
吟優舎にご依頼くださったのは、6〜7年前のこと。
もともと町家に惹かれ、
この昭和住宅を購入されました。
「購入の際は、吟優舎さんに
『ここなら理想に近いリノベーションができるんじゃないですか』
と言っていただいて決めました」
あれから数年。
Y様はリノベーション後も、家づくりを楽しまれています。
「DIYが好きで。いろいろな人に聞きながら、全部自分で手をかけました」
そう語るY様が見せてくださったのは、
アジアの古い薬箱をアレンジしたオリジナルのカウンター。
吟優舎が設えた、なぐり調のカウンター。
そこに施主様の工夫が加わり、
唯一無二の場所へと育っていました。
リノベーション直後
現在
意外な発想。
モロッカンタイルと
アンティークの薬箱テーブルが
驚くほど美しく調和して、
まるでもとからそこにあったようです。

施主様のご要望で設置した、アンティークガラスのキッチンボード。

ダークブラウンの内装に合わせて吟味した、同系色のタイル。

存在感が大きい冷蔵庫には、施主様お手製の木製カバーを。

アンティーク市で見つけた椅子たちは、施主様自ら磨き上げて。
大正ロマンなペンダントライトがマッチ。

無機質なスイッチ類は、アジアのレリーフでおしゃれにカバー。

施主様がデザインしたステンドグラス。中央はなんと筍。
ちょっぴり年齢を重ねた猫ちゃんたち。
キャットウォークに上がることは減ったけれど
このお部屋がお気に入り。
猫たちが歩いて傷ついた無垢の床は、
こうやって補修。
「それも楽しいんですよ」とY様。
年月を経て、
お庭のもみじの木が、
すっかり大きくなっていました。
灯篭の上の苔がとってもいい感じ。
「全部に手をかけて思い入れが詰まっているので、全部が気に入ってます」
住み始めて5年以上。
その空間は、むしろ今がいちばんY様らしく輝いているように感じます。
リノベーションは終わりではなく、
新しい暮らしの始まり。
「住まいは育てるもの」
私たちもあらためて気づいた訪問となりました。
Y様による「お客様の声」も
合わせてご覧ください。
お客様の声
blogged by 黒川京子
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2025年9月11日 2:11 PM |
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