『 最近の記事 』
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・吟優舎 北白川事務所 改装編 第四弾!
左京区北白川の事務所の続報です。
玄関の土間工事の模様をお伝えします。

(before)建物内部から玄関を見る。モルタル塗り中
最初に、左官の職人がモルタルを水平に塗り、
先日お話しした色タイルで、玄関の土間を飾ります。
これが時間のかかる、大変な作業でした。

(before)平均台のような足場をセット
現場は細長く、足をつく場所がありません。
長い木材を、外から建物内へ平均台のようにセットしました。

(before)足場上でバランスをとりつつ作業
「平均台の足場」の上で、各タイルの間隔を巻き尺で測りつつ、
新しいタイルを配置して、金づちの木柄で軽く叩いて押し込み、
刷毛でタイル表面を水拭きし、コテで周囲を軽くならします。
時間のかかる、神経を使う作業の繰り返しです。

(before)再度、全体をならして押さえます
こんな足場で、左官のコテを自在に扱うのはやはり大変だそうです。
「試してみるけど、お客さんの現場ではとてもできへんわ」
といいながらも、ドアがしまる所の段差を丁寧に調整する職人さん。
タイルを埋め込むため、凝固剤を使わずに
モルタルがやわらかいままで作業を進めたため、
時間がたつと、モルタル仕上げの角がゆるみます。
再度モルタルをならして押さえるまでの時間をみて、
先に周辺の後片付けを済ませることに。
設計者は「どんな工程がどう難しくどこが職人の負担か」、
職人は「お客様が求めておられる美しさのポイント」に
お互いが気づくよい機会になりました。
ノウハウが共有され、きっとベストな結果が生まれるはずです。

(after)完成。後日、外から撮影しました
「お客様にとって、楽しく美しい空間」を目指してまいります!
次回は、建物の外壁工事についてお伝えいたします。
外観のビフォーアフターを、お楽しみに。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
Blogged by 小川 還
2013年6月25日 1:05 PM |
カテゴリー:事務所 Vol.4 |
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・吟優舎 北白川事務所 改装編 第三弾!
2012年春から改装を始めております、左京区北白川の事務所。
徐々に、完成に近づいてまいりました。
ご覧ください。
こちらから以前の状況がご覧いただけます。
(2012年 3月20日 左京区北白川事務所 Vol.1)
→ http://www.ginyusya.com/blog/?p=49
(2012年 4月 2日 左京区北白川事務所 Vol.2)
→ http://www.ginyusya.com/blog/?p=159
弊社の事務所ということで、大実験あり、そして試行錯誤あり。
各スタッフの鍛錬の場として、予算はぐっと押さえつつ、
ベストな施工法や仕上げ法を探求いたします。
せっかくの『古民家』ですから、まず、
古い梁を見せることになりました。

・平屋の屋根裏を開放!

・古い梁がでてきました!
早速、天井を半分とりはらい、吹き抜け&ロフトへと改造。
梯子(はしご)も、大工職人による精緻な細工です。
壁紙はまだ貼れていませんが、室内の印象がガラリと変わりました。

(before)玄関の土間飾りに用いる、タイル
吹き抜けの下は、無垢のパイン材の床です。
並べられた色タイルは、玄関の土間の飾りに使う材料でありまして…

(before)バランス良い組み方・色合いを試行錯誤中
設計・デザイン担当スタッフが、タイルの置き方の
アイデアを図面にした後、実際にタイルを仮置きして
じっくりと色彩構成していました。
半端に余った材料を見つけ、色あいや組み合わせを素早く
提案・決断し、職人さんと施工法を相談して決めてゆき、
気がついた時には完成間近、…と、まさしくプロの技です。
写真でうす緑に見えている奥側の床は、琉球畳です。
お客様のお子様がいらっしゃった際には、安全に遊べる
「キッズコーナー」となります。
これも、設計・デザイン担当スタッフのアイデア。
ぱっと見ると床の間のようでもあり、格式もあって、
花や絵を飾るのが楽しい空間です。

(before)トイレ&シャワー室へと改装中
旧お風呂場は、トイレ&シャワー室に改装しました。
現場管理担当スタッフがタイミング良く、
左官職人に次のタイルを手渡して作業効率もアップし…

(after)トイレ&シャワー室 完成
こうなりました!
凸凹のある深緑とツルツルの白に塗りわけた2色の壁に、
渋い茶色の長タイルをアクセントにしたトイレ。
ガラスブロックの向こうは、シャワー室です。
最小限の空間ですが、照明などすみずみまで気を配った
設計・デザイン担当者と、職人による丁寧な施工により、
最大限お洒落な空間に生まれ変わりました。
次回は、玄関の土間工事の模様をお伝えします。
色タイルの飾りはどうなるのでしょうか、ご期待ください。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
Blogged by 小川 還
2013年6月23日 12:14 AM |
カテゴリー:事務所 Vol.3 |
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比叡山が見える住宅街、岩倉の家の続報です。
(※過去ブログへ→ VOL.1・.2・.3)
建物全体に足場とシートが取り付けられました。

(before)足場とシートがつけられた外観
トントントン…という、金づち音が響きます。

(before)戸口(元 勝手口)より邸内をのぞく
屋内は、すべての窓の取り付けと、
間仕切りおよび壁面の下地工事までが、完了です。

(before)庭へ面した大窓。奥は増築部分
庭へぐっと突き出た増築部分も、ようやく部屋らしくなり、
窓の外では、窓枠と建物の間の防水処理が進められています。

(before)キッチン設置予定地点から庭を見る
対面スタイルのキッチンを設置する準備も整い、
リビング〜庭方向への視界の広さを確認できました。
見えない所で、新しい太い梁が天井をしっかりと支えています。

(before)修復中の玄関
横に小窓がつけられ、明るくなった新しい玄関です。
天井は昔からの屋根を利用した、高い吹き抜けとなります。

(before)玄関天井の吹き抜け部分
昔のまま保存される、状態のいい木製階段を上がり、2階へ。

(before)窓を修復した、2階和室
和室は、本棚やベッドなどの家具が置きやすいよう、
また、防犯性能のアップも兼ねて窓の高さが調整されました。

(before)2階和室のベランダ
庭の林に面した側にある、2階の大きなベランダは、
足場の一部がはずされた後に、さびた鉄製の支柱と手すりを再生し、
新しい丈夫な床板を設置する予定です。
また、2階の壁の仕上げは、工事の最後に、若いお施主様ご夫妻が、
ご自分の手で珪藻土塗りを担当されます。
弊社の担当設計者も、
「住まう人が自分自身で手をいれた家は、愛着がわくし経済的だし、
長く大切にされるから、作業の日が楽しみ」と、喜んでおりました。
ふと、先日こちらのお子様方と公園で遊んだ際に「光る泥だんご」の
作り方を教えてもらったことを思い出しました。
土壁も、塗りながら表面を押さえるとツルツルピカピカになり、
「光る泥だんご」作りに相通じる点があります。
(…ちょっと昔まで、日本の農村では子どもが大勢で泥だんごを作り、
土壁の最初の土台づくりに参加していたそうです。)
大人と子ども達の、競争になりそうです。
壁塗りは、このご一家の楽しい思い出になるのではないでしょうか。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
Blogged by 小川 還
( 監修 : 松山 一磨)
2013年6月11日 12:07 AM |
カテゴリー:洋館造りの古民家 VOL.4 |
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目にも鮮やかな緑の季節です。

堀川通りより見た御所
「杉皮塀のある町家」へやってまいりました。
前回ご報告した、杉皮塀のリフォーム完了後の、続報です。
(※初回ブログはコチラ→ VOL.1)

(after)玄関前より杉皮塀、歌舞伎門
ついに家本体のリフォーム工事の準備が整いまして、
解体前日のチェックにお邪魔いたしました。
お施主様ご夫婦にとっては、現状での見納めです。
お子様も小さく、片付けにいらっしゃるだけで大変なのに、
気持ちのよい笑顔で迎えてくださいました。
捨てるもの、残すもの、それぞれを色テープで分別し、
取り違え無いよう邸内を念入りに確認してゆきます。
さて、リフォーム前の家の様子をどうぞ。
…端正な美宅です、リフォーム前ですけれども是非ご覧ください。
お施主様のお祖父様が購入されてすぐ増改築され、
次に、ご両親の時代に水回りや空調の改築があったようです。
今回は、全体のリフォームとなります。

(before)正面から見た7面の屋根
こちらのお屋敷の特徴は、
2つの玄関と過去の増築で複雑になった屋根です。
解体してみるまで構造がわからず、気は抜けません。

(保存箇所)来客専用玄関
玄関のうち1つは、お客様専用の格式高い玄関。

(保存箇所)踏み石と障子
足を踏み出すと、気が引き締まります。

(before)家族用玄関
もう1つは、家族の玄関。

(before)門前から続く、趣き深い石畳
普段の勝手口でもあり、つい入ってみたくなる雰囲気です。
…お邪魔いたします。

(before)邸内と上がり框(あがりかまち)
上がり框(あがりかまち)から先は意外にも、現代的な空間でした。
(※上がり框/あがりかまち=土間から床へ上がるための一段高い板段。
視線が集まるため、良質な木目の美しい木材で製作される)

(before)上がり框の対面側
上がり框(あがりかまち)より振り返れば、昔の屋根としっくい壁が
あり、現代と過去のちょうど境目にいる心持ちです。
少しスピードをあげて、改築予定部分をご案内しましょう。

(before)現代風のダイニングキッチン
明るい木目調のフローリングに、システムキッチン。
水回りを使いやすくするために以前、増築された部屋です。
配置を変え、家とつり合うように古めいた仕様に変更されます。

(before)玄関脇の洋室
玄関を入ってすぐの洋室は、神戸の西洋館に似たデザインで、
壁は丸みをおび、天井へとなめらかに続いています。
壁紙・絨緞など表面の仕上げは新しいものになっていました。
木製の窓枠やお洒落なガラスは、そのまま残る予定です。

(before)茶の間。押入れの中には階段
お隣の茶の間からは、寝転べず不評だった掘りごたつが撤去され、
階段は、もっと傾斜がゆるいものと付け替えられます。

(before)網代(あじろ)の戸棚
押入れの奥は、裏手にある廊下側から使えるように浅く仕切られています。
その戸棚の戸は、檜(ひのき)の薄板を斜めに編んだ、手間のかかる高価な
「網代(あじろ)」の仕上げでした。

(before)来客専用の階段
お座敷と仏間の奥に、また階段がありました。
来客専用で現在は使われておらず、今回、撤去されます。
では、2階へまいりましょう。
1階とそっくりなお座敷と、洋間が並んでいます。

(before)お座敷と洋間の書斎
現代風に改築された洋間には、窓際の押入れを改造した
小さな書斎があり、古い机が置かれていました。
ここは、1階に場所を移し、設計担当者の指示によって再構築されます。

(before)2階。お座敷と洋間の欄間の比較
家全体で統一された形の欄間があり、洋間だけは、
エアコンで空調するためにふさがれていました。
過去に行われた改築は、どちらかと言えば、見た目より
実用本位の改造だったのでしょうか。
今回は、こういった点も解消されると聞いております。

(before)廊下のアンティーク照明
珍しいデザインに、設計担当者も思わず歓声をあげていました。
この照明は、外の杉皮塀の上に取り付けられた照明と
同じ時代の作品のように思われます。

(before)古い電灯のスイッチ
古い照明器具がある…つまり配線も古い、ということでしょうか?
新旧が入り交じったスイッチは、使いにくそうでした。
漏電による出火を防ぐために、配線までスッキリ整える必要があるようです。

(before)1・2階の廊下アップ
部屋をめぐって歩いた廊下は、昔のままの美しい木目であり、
角は寄木(よせぎ)にされ、長い1枚板を丁寧に組んであります。
表面はそのままに。
裏側には断熱材を施工して、床下からくる寒気をふせぎ、
より快適になる予定です。
2階の廊下からは手すりの柵がはずされ、屋根の上に
広いウッドデッキが新設されます。

(before)1階の廊下
庭の緑が目に心地よく、涼しい風が吹き抜けてゆきます。
この環境はそのまま、残されるはずです。
どんなスタイルも必ず、いつかは時代遅れになるもの。
されど、いくら古くとも、留めておきたい部分はそのままに。
…こだわりは受け継がれ、家屋に残ります。
家を購入したお祖父様やご両親は、その時代の最先端を集めて
自分の住まいをつくりあげられたのでしょう。
こんどはお施主様が、今の感覚でつくり変える番です。
弊社の設計担当者は、
目の前のお施主様のご希望をうかがいながら、
お祖父様が残された和のアンティークと対話するつもりで、
間取りはもちろん、紙・石の1つ1つまで膨大なサンプルを
取り寄せて吟味してきました。
古くても心には新しく感じられ、
新しくても古く懐かしい家に…。
徐々に明かされる全貌にご期待ください。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
Blogged by 小川 還
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建築こぼれ話 その3
「ピッタリ作らない、という知恵」
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今回は、高級な網代(あじろ)戸の棚がありましたので
思わず、戸を開いて中をのぞいてみました。

(before)網代(あじろ)の戸棚の上部
最上段には、天板がありません。
また、背板も少しずらしたような納まりです。
試しに棚と押入れ、両側の戸を開いてみると、
強めの風が吹きぬけてゆきました。
…湿気対策だったようです!
押入れなど、布団からの湿気がたまりやすい所では
細かく仕切って空間を密閉しない、という昔の知恵です。
宮大工さんの書いた本によると、
日本の大工さんは古代から、視線がむかう部材の
美しさを大変気にかけたそうです。
逆に、見えない部分は、地震や台風での揺れや
湿気を逃がす構造に注力していました。
もちろんピッタリに作る技術力はあったのですが、
わざと、ピッタリ作らない部分を残したのです。
機会がありましたら、町家の土台の柱を見てください。
ゴツゴツした石にパッとのせただけの雑な仕上げに見えますが
適度にすきまができて、湿気がぬけます。
もし、石の上面にピッタリ合うように柱を削ると、
見た目はいいのですが、水にぬれた時に乾きません。
現代の押入れは、すきまが無いからカビが生えやすいそうです。
すのこを使って風の道を開けることをお奨めいたします。
…では、またお目にかかれますよう。
2013年5月20日 12:42 AM |
カテゴリー:杉皮塀のある町家 VOL.2 |
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建築こぼれ話 その2
「古家の土壁からは虫が出るの?」
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今回の物件にも土壁がありましたが、別件で、
「しっくい壁の割れ目の土から虫が出てくるのでは?」
と、友人に相談されたことがあります。
結論から申しますと、虫はまずあり得ません。
壁自体が無くなるほど割れていなければ。
日本でのしっくい壁とは、壁の表面仕上げであり、
屋内で歩く時の振動でヒビが入りやすい下側の角が、
よく三角形に割れます。
また、古いしっくい壁が自然にはがれ落ちてしまい、
内部の土壁がむき出しになることもあります。
しっくい壁の寿命は、次の日〜百年以上まで、
塗った人間の腕次第だそうです。
プロの左官職人の目安は約10〜30年位でしょうか。
さて、内部の土壁の土ですが、じつは…
「現代の家造りに土壁が採用されにくいのは、時間を省くためだ」
と言う職人もいるほど、大変な手間がかかっているのです。
家一軒分の土を、建てる前に準備したという、
昔のやり方をざっくり説明いたします。
まず、土を、編み目の細かいザルでこしてサラサラにします。
大量の水と刻んだ稲ワラを加えて混ぜ、水がヒタヒタのまま
容器か掘っておいた穴に貯めてフタをして寝かせます。
半年〜1年後、ワラが腐って繊維になるころ、水加減を調節して
クワやシャベルで丁寧に練り上げ、やわらかい粘土状にしてから
竹を編んで作った壁芯(竹小舞:たけこまい)に塗り重ねます。
「鉄筋コンクリート」ならぬ「竹筋土壁」であり、
竹を芯にすると壁の強さが驚くほどアップします。
土は、水攻めの後、練り上げ工程ですり潰され、乾燥すれば
岩のように固くなりますから、虫は近づけません。
土壁は土に見えますが、製法を見ればむしろレンガや
コンクリートに近いと言えます。
地面にある土と、土壁との違い。
「レンガやコンクリートから虫が出てきますか?」
これが、答えの代わりになると思います。
おつきあいいただき、ありがとうございました!
Blogged by 小川 還
2013年5月5日 10:17 PM |
カテゴリー:2013年5月5日 |
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