『 最近の記事 』

京都市左京区『下鴨の古民家』リノベーション VOL.2

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『下鴨の古民家』の続報  VOL.2 をお伝えします。

(※初回ブログは → コチラ

 

(after)ベランダからの景色

 

送り火の「妙」の字の山が見えるベランダが

完成いたしました。

中庭を見下ろす位置にあるベランダです。

同時に、屋根の葺替えも行いました。

 

(after)ベランダ/葺替えた屋根

 

この部分の屋根は瓦ではなく、ガルバリウム鋼板を採用しています。

軽く、従来の鉄板材とは違い耐久性にも優れています。

 

では、玄関から見てまいりましょう。

 

(工事中)新調された玄関戸

 

新調された玄関格子戸と欄間です。

これから塗装し、ガラスを入れて完成です。

 

玄関を入ると、すぐにアーチ形の開口部があります。

新設の土間収納です。

 

(工事中)玄関土間/土間収納のアーチ形開口部

 

左官職人が土間仕上げをする前に、設計デザイン担当者が、

 

(before)石の床飾りを考案中

 

石を選び、床飾りのパターンを実際に作っていました。

那智黒石を花びら状に並べています!

 

(工事中)アーチ型の開口部より内部を見る

 

アーチ形の向こうには、木工事担当の大工職人さんが二人。

この土間収納は、数人の大人が入れる広々設計としました。

2方向に入口があり、行き止まりのない回遊式の動線になっています。

では、もう1つの、階段脇の開口部から内部をご覧ください。

 

(after)階段脇の開口部/完成した那智黒石の床飾り

 

玄関天井は、華やかな格子天井に造り変えています。

元々あった来客用トイレと手洗いスペースは完全に撤去し、

明かりと風を取り入れるための大きな窓を新設しました。

 

(工事中)玄関天井に唐紙を施工中

(工事中)窓新設で玄関を明るく!

 

さあ、玄関横の和室へお進みください。

縁側との間仕切りを撤去して和室の一部に取り込み、

そのぶんだけ隣のLDK(主にリビング)の面積を広げています。

縁側だった部分は勾配天井を活かし、網代(あじろ)のクロスでデザインしました。

 

また、小さな拘(こだわ)りとして…

すぐ隣のLDKのリビングスペースに新設した、観音開きの物入れの建具の高さを、

和室内にある既存の床の間の開口高と合わせています。

このような設計により、言葉では説明できない、感情的な安定感を

生み出せるのではないかと考えております。

 

(工事中)縁側を撤去、和室の一部に変更

(工事中)既存の床の間と、新設した観音開きの物入れ

 

LDKのキッチンスペースには、食事もできるキッチンカウンターを

新しく製作し、リビングとキッチンの間に設置。

両方から利用できる便利なカウンターです。

カウンター天板はステンレス、デザインのポイントとして側面の棚に

モザイクタイルを埋め込んでいます。

 

(工事中)キッチンカウンター 製作中/設置予定場所の壁面

(工事中)キッチンカウンター 固定

 

リビング側から見た、キッチン正面全景をどうぞ。

私たちスタッフのお気に入りの場所(見せ場)の1つです。

モザイクタイルとアンティークイメージのカウンター、そして、

オーバル(oval:卵形や楕円形)のペンダントに、

シンボルとも言える…木目を強調させた大きな柱。

 

(工事中)キッチン正面全景

 

キッチン正面右側は、斜板をはずし、敢(あ)えて凸凹が見える

ようにした階段の裏側です。

デザイン的に楽しめるよう、従来のクロス仕上げではなく、

裏側全体を無垢材(むくざい)で造作し直しました。

下部は、レンジ台と収納になっています。

 

(工事中)階段下収納

 

この階段手前の、ぽっかり空いたスペースには、天井まである超大型の食器棚を

新しく造作しました。 扉は3枚引戸ですので、大きく開けることが可能です。

またこの建具、デザインにも力を入れています。

完成をお楽しみに!!

 

(工事中)キッチン食器棚 製作中

 

キッチン正面左側(すぐ上の写真の左奥)には、

洗面&洗濯室への開口部があります。

こちらも回遊式の動線にリフォームし、キッチンとリビングの2方向から

出入りが可能になりました。

洗面&洗濯室の奥に見えているのは、浴室です。

 

(工事中)キッチンカウンター横から、洗面&洗濯室を見る

 

洗面&洗濯室の内部へどうぞ。

左には天井まである収納棚を造作し、右には大型洗面台と洗濯機置き場を。

これでもう、『お母さ〜ん、パンツは?』という声に悩まされることはない…かも!?

 

(工事中)洗面&洗濯室。左:収納棚/右:洗面台と洗濯機置き場

 

リビングスペースは、中庭側の既存の屋根勾配の天井に

新しく無垢の垂木(むく の たるき)をデザインし、

ナチュラル感あふれる空間を演出しました。

 

(工事中)リビングスペース。中庭側のテラス窓と天井

 

リビングから離れへと続く通路入口は、アーチ形の開口部にリフォーム。

通路の途中には、前より広くなったトイレがあります。

このトイレ、以前は、リビングから出入りする配置となっていましたが、

今回のリフォームで、離れへの渡り廊下から入れるように設計変更しました。

扉の多くは、大正~昭和初期に製作されたアンティークの建具を採用しています。

 

(工事中)リビングから離れへの通路を見る

(工事中)エアコンのダクトケース、フタを外したところ

 

じつはこのアーチ壁、デザインのためだけのものではなく、

エアコンのダクトケースにもなっています。

テラスサッシ上部に設置されるエアコンのダクトやドレイン配管を隠し、

スッキリさせるためです。

 

アーチを通り、離れへ進みます。

 

(工事中)離れ。ロフトのある書斎正面/オーダーメイドの本棚と机

(工事中)ロフト側(書斎の上部)/吹きぬけ側

 

離れの2部屋は天井を撤去し、一方をロフト付きに、

もう一方を吹きぬけに改造しました。

 

(after)吹きぬけには天井扇を設置

吹き抜けの高い天井

 

また、吹きぬけ側に、テラス窓(掃き出し窓)を新設。

隣家までいっぱいいっぱいに建っていた外壁を、半間(90cm)後退させ、

その空間にウッドデッキを敷き詰めました。

ちょっと面白い空間になっています。

子供たちが大好きになりそうな場所…が出来たかもしれません!?

隣家との目線を遮るため、微妙な高さ(?)のアルミの通風フェンスを設置しました。

 

(工事中)ウッドデッキのテラス

 

さて、二階の和室は、縁側と床の間・押入れを撤去して、大きな空間を造り、

収納棚が3列ある大容量のウォークインクローゼット(→ 約6畳の広さ)を

新設しています。

珪藻土のクロスを採用し、教室として多人数が使用されていた以前とは違う、

ほっとする雰囲気を目指しました。

 

(工事中)二階の和室、板床部分

(工事中)二階の和室、畳部分/ウォークインクローゼット

(工事中)ウォークインクローゼット内部/3列の収納棚

(工事中)棚板は可動式になっています。

 

夕暮れ後に、各室に照明器具を取付けてまわりました。

中庭が見えるリビングの窓辺です。

 

(工事中)リビング窓辺の照明

 

私たちが目標とする『 新しいのに古く懐かしいデザイン 』に

相応しく(ふさわしく)ありますでしょうか!? いかがでしょう?

 

このあと、塗装と最後の仕上げに入ります。

腕によりをかけて、塗装職人と大工職人が

木工作業に奮闘いたします。

ご期待ください!!

 

ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

m(_ _)m

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

 

京都市伏見区 『Lスタイル-LDKの町家』 リノベーション VOL.1

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・伏見稲荷大社周辺イメージ

 

伏見(ふしみ)と言えば、連続する朱色の鳥居で有名な

『伏見稲荷大社』(ふしみいなりたいしゃ)。

 

この地に、稲荷大社が創られたのは 奈良時代の711年、

平安時代からは貴族たちの家がどんどん建てられていった

そうで、それからざっと約1200年!

由緒ある住宅地なのです。

 

そのせいでしょうか。

周辺は、木造のレトロな商店街や一軒家がずらりと建ち並び、

背の低い家並みの上には、ぬけるような美しい青空が!

 

今回はそんな空の下にある、1軒の町家についてお届けします。

 

(before)外観 斜め前より

 

こちらの物件は、築50年以上。

一階は家族の空間で、現在、玄関は正面に付け替えられています。

 

二階は下宿に増改築されており、

個室 計6室に共同トイレ…と、かなりボリュームが

大きいせいでしょうか。

家全体の外観のバランスが崩れ、

「町家らしさ」を無くしてしまっていました。

 

(before)外観 正面。中央部が正面玄関

 

向かって右端に、建築当初からの歌舞伎門(かぶきもん)がある

のですが、2階増築のインパクトに押されて、なんとなく

寂(さび)しそうな感じになっています…。

 

(before)外観 旧玄関へ続く門

 

さて、こちらにお住まいになるのは、

ご夫婦共にデザイン関係をご専門としてお仕事されている

センス溢れる(あふれる)若いご夫婦です。

また、工事開始後には、待望の赤ちゃんも誕生されました。

〜 お施主様、おめでとうございます!! 〜

 

(before)門から続く「旧玄関」の外/内

 

(before)現在の「正面玄関」の外/内

 

おふたりは、昨年 2013年の夏に、弊社が開催した、

『左京区・杉皮塀のある町家』(※詳細ブログはこちら → 前半 / 後半

の完成見学会に足をお運びくださいました。

今でも、ご夫婦で長時間、真剣にご見学される姿が

深く印象に残っております。

 

初回の打合せ(うちあわせ)にあたり、

流石(さすが)にデザインがご専門だけあって、

Adobe Illustrator というデザイナーが使う高度なソフトで作成された

多ページに渡る素晴らしい企画書をご持参くださいました。

 

改築後をイメージしたその資料は、写真や図も含めて完成度が高く、

弊社内では各スタッフがもれなく回覧し、絶賛の嵐に!!

 

(before)ダイニング+キッチン/床の補修跡

 

(before)一階 寝室 2部屋と縁側

 

(before)一階 坪庭へ続く廊下/床の補修跡

 

(before)一階 洗面所/お風呂場

 

さて、お施主様の頭の中にあるイメージに、弊社の案をプラスし、

お施主様との綿密な協議と現況のチェックを繰り返しました結果、

初めてお会いした日から半年を経て、着工とあいなりました。

 

(before)二階 戸1枚で仕切った下宿の各部屋

 

(before)二階 下宿の共同トイレ

 

「町家らしくない町家?!」からスタートして、

『町家イメージの復元 + 住みやすい機能的な家』となるように、

各空間ごとの“テーマ”と“役割”を決めて創ってゆきます。

 

(before)二階 北側ベランダの洗面台

 

この工事のラストには、ご主人が参加され、

◆フローリングとガレージ内の塗装

◆二階の鉄製バルコニーの床張り&塗装

などに、自ら挑戦される予定です。

(※弊社からもコーチ?が出向きます)

 

では、次回も又、工事の進捗(しんちょく)を密着取材して

まいりますので、ご期待ください!

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

 

京都市左京区『下鴨の古民家』リノベーション VOL.1

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京都市左京区、上賀茂(かみがも)〜下鴨(しもがも)周辺は

古い神社の社家(しゃけ)の並びや疎水(そすい)の流れに囲まれ、

ほっとするような静かで落ち着いた住宅街です。

 

(before)家外観 正面

 

その住宅街の一軒。… 去年(2013年)の夏8月の初旬ごろ、

下鴨に家を求められたお施主様より

お問い合わせをいただきました。

 

以前の持ち主様が10年前に大規模な改修工事をされていたのですが、

お施主様のライフスタイルと趣向に合った家に造り変えたい、とご希望でした。

内装はもちろんですが、外観のイメージを大きく変えたいという強いご希望も。

 

写真をご覧いただくとお分かりになるかと思いますが、

向かって左側が、敷地いっぱいに建てられいるために、

屋根の軒(のき)がプツンと切れた状態になっています。

このアンバランスさが、どうやら外観のイメージに

影響しているようなのです。

 

隣地にはみ出るような造作はできませんので、デザイン面での改善を目指しました!

…美的センスを問われる設計デザイン担当者、責任重大です。

 

(before)台形の土地

 

また、「車庫に、電動シャッターの門が欲しい」とのご要望もあり、

斜めになった奥行5メートル前後の台形の土地へ、車と門をいかに

うまく納(おさ)めるのかが、第2のポイントとなりました。

 

(before)建築当初の面影を残す門

 

(before)門上部の透かし彫り

 

お施主様である若いご夫婦と小さなお子様の三人暮らし。

海外での生活経験もあられ、その時に購入されたとっても素敵なアンティークな家具や

ペルシャ絨毯(じゅうたん)をお持ちです。

そんな素敵な品々が生かされる、町家イメージでの改装がテーマとなりました。

 

◆ 働かれている奥様の家事をより能率的にするための動線計画…

◆ たくさんのお客様をお迎えできること…

◆ 華やかなご夫妻の雰囲気とよく合う、ある意味負けない、

調和の取れたデザインであること…

◆ お迎えした外国からのお客様が思わず笑顔になるような

『日本っぽさのあるレトロ&ゴージャス感』を創りだすこと…

◆ 純和風ではなく、外国の方にも感じられる和の愉しさ(たのしさ)や

可愛らしさを…

 

各スタッフが、テーマとご要望を念頭に置き、現況を確認してゆきます。

 

(before)建築当初のままの格子戸

 

(before)美しい石畳の玄関

 

とにかく広い玄関ホール。

入ってすぐのトイレ・靴箱なども、約10年前に大改装されています。

 

(before)玄関入ってすぐのトイレ・靴箱

 

(before)玄関から階段側を見る

 

玄関を入ると、トイレや和室・リビングへのドアがずらりと並んでいます。

もう少し採光があっても良いかもしれません。

 

(before)和室からリビング側を見る

 

玄関すぐの和室からは、リビング〜中庭、

離れへの廊下が見えています。

 

(before)リビングからキッチンを見る

 

(before)階段下に位置するキッチン

 

(before)リビング最奥のドアは洗面・浴室

 

(before)離れへの廊下の途中にあるコンクリート土間の庭

 

(before)離れから振り返って見たリビング側と廊下

 

(before)反対側から見た七三分けの屋根

 

中庭や土間などの外部空間も多いため、

室内とどのように繋(つな)げてゆくべきか?

見る庭にするのか? 作業する庭にするのか?

が、重要な選択となりました。

二階屋根には、新たな外部空間…ベランダなどを造ることも考慮します。

 

まずは、一階の動線を再検討して、家事がしやすい家に。

同時に、外観デザインに手をつけることになりました。

 

(before)二階 洋室

 

(before) 二階 和室

 

二階は、奥様ご希望の大きなウォークインクローゼットを

プランした上で、大空間の和室を寝室へと改築します。

さらに、要所要所に「見どころ」を創っていくことになりました。

さあこれから、

鮮やかなモザイクタイルや唐紙を使ってお化粧をしていきます!

お施主様ご夫妻のお洒落さに負けないような、

空間をまるごと楽しめるような「華のある家」を目指して、

リノベーションがスタートします!!

 

これからどんな家に変身してゆくか?

完成のご報告まで、どうぞご覧ください!

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

 

左京区北白川事務所 Vol.7

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・吟優舎 北白川事務所 改装編 第七弾!

 

左京区北白川の事務所改装の続報です。

時期外れとなりましたが、Vol.6で消えた壁部の改装、

「暖炉コーナーづくり」をご報告いたします。

 

(before)北白川事務所 工事前の外観

 

こちらから以前の状況がご覧いただけます。

(→ Vol.1) (→ Vol.2) (→ Vol.3

(→ Vol.4)  (→ Vol.5) (→ Vol.6

 

・事務所内から見たオーダーメイド木製窓

 

窓台の枠まで木製…という、今となっては珍しく

昔懐かしいオーダーメイドの窓も、弊社にすっかり

馴染んで(なじんで)きたようです。

 

時折、コトン!カツン!と屋根にあたるどんぐりの音。

まだ冬の半ばの昼下がり、スタッフ一同が集まりました。

 

(before)塗装前 暖炉コーナー

 

(before)暖炉コーナー 塗装後

 

本日まで、コンクリートブロックを組んで積み上げ、

白のモルタル塗装と焦げ茶のタイル貼りで仕上げた

暖炉コーナーの姿です。

 

工事完了につき、弊社の設計デザイン担当者が

周辺の状況を初めてチェックします。

 

いかがでしょうか?

皆様も、設計士の目でご覧になってみてください。

 

(before)東側の壁 左

 

(before)東側の壁のつづき 右

 

「この空間は、何かが足りず、寂しいです!」

と、設計デザイン担当者のひと声が。

 

・暖炉に魔法が必要では!?

 

すぐさま、追加工事にとりかかりました。

 

(before)タイル幅などを実測確認

 

(before)今回選んだ陶器タイル

 

まるでパウル・クレー(→こちら Paul Klee)の絵のような、

鮮やかで色とりどりの陶器タイルを縦に並べることになり、

まず、タイルを貼る土台となる木部を造作していきます。

 

(before)タイル貼付け面を造作

 

同時に、

大工職人の手で、建具の枠を太くし厚みをもたせ、

スイスの古民家のように木部の存在感を際立たせます。

 

(before)建具枠を重厚に

 

色調を確かめながら慎重にタイルを貼り進め、

目地材(めじざい)を塗り込み、乾かします。

 

(before)目地材 乾燥中

 

数時間後に目地材を拭き取り、本日の工事が完了しました。

皆様、いかがでしょうか?

 

(本日のafter)暖炉周辺完成

 

( ↑ 写真をクリックすると大きくなります)

 

最後に、暖炉に火を入れてみました。

まだ寒かったこの時期、本物の火を見て暖まり、

ほっとするひと時でした。

 

・暖炉点火

 

では、次回こそ、完成後のすべてをご披露したいと思います。

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by 小川 還

 

 

 

 

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.6 【 完成編 後半 】

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(after)洋のリビング ・吹き抜け

 

杉皮塀のある町家、完成編【 後半 】をお届けいたします。

※過去ブログへ → VOL.1・ VOL.2VOL.3・ VOL.4・ VOL.5

写真は、キッチンから見た洋のリビング。

 

(after)玄関内周り

 

天井を撤去し、屋根に天窓を造作しました。

吹き抜けにすることで、大きな梁や柱、勾配の屋根裏が見え、

変化に富んだ空間が創り出されました。

そして天窓からの光がさらにその変化に彩(いろどり)を添えてくれます。

このお屋敷ならではの美しさが際だったように思われます。

 

(after)吹き抜け 〜02〜

 

夕暮れの陽光が、天窓から吹き抜けへ差し込み、

様々な梁影を映し出し、退屈しません。

ちなみに上部の丸太の梁は、以前から有った古いもの。

下に見える角材の梁は、デザインと補強を兼ねて造作した新しいものです。

見た目には、どちらも元々有った古い梁に見えますが・・・。

 

(after)両開き窓を引戸に改造

 

リビングスペースの両開き窓は、

新しく外格子を取付け、そのまま引戸にリフォームしました!!

既存の開き窓の建具に溝加工を施し、納めています。

 

(after)アンティーク戸

 

室内各所に大正から昭和初期製造のアンティーク扉を設(しつら)えました。

扉の向こうは、和のリビングスペースです。

 

(after)和のリビングスペース

 

変色がなく、肌触りの優しい和紙の市松畳

オリジナルの京唐紙(からかみ)

新規造作のコンパクトでかわいい書院

個性豊かな和のリビングスペースの完成です。

 

(after)隠れ家的な書斎

 

押入の隣には、奥様の強いご要望であったミニマムな書院が完成しました!!

幼いお子様の様子を見ながらササッとメールを書いたり、本を読んだりと・・・

隠れ家のような空間で、作業にも集中できそうです。

 

(after)京唐紙(からかみ)の襖

 

襖(ふすま)は、伝統ある京唐紙(からかみ)へ貼り変えました。

柄(がら)はもちろん、紙色、紙質まで選んで、昔ながらの版木を使っての職人の手で作られる京唐紙です。

一点しか存在しない本物の逸品です!!

 

(after)新しい階段

 

さあ、二階へどうぞ。

階段は傾斜を緩(ゆる)くし、お子様が登りやすいように

段数を増やしています。

手摺(てすり)も大工造作で製作したオリジナルです。

 

(after)2階の洗面 〜01〜

 

町家イメージの洗面台の完成です!!

右のアンティーク戸(二階トイレ入口)とのバランスを考え、

この家の風格に合う、”渋さ”のあるデザインに。

陶器製の洗面ボウルが載(の)る天板は、一見(いっけん)、木の板に見えますが、

水の変色や腐れを考慮して、木肌色の陶器タイルを採用しています。

 

(after)2階の洗面 〜02〜

(after)2階の洗面 〜03〜

 

照明・鏡・陶器製洗面ボール・タイルなどは、

『  大正期の町家の 趣(おもむ)き  』を表現するように、

設計デザイン担当者が現場で実際の色や風合いを確認して選んだものです。

 

(after)和室の押入棚

 

一階和室の押入。

ここは二つあった階段の一つを撤去して収納にリフォームしたもの。

施主様のご要望をお聞きして、従来の中段のみの押入でなく、

洋服ダンス代わりにも使えるように

可動式の棚やネクタイハンガー、ズボンハンガー、パイプハンガーを設置しました。

 

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜01〜

 

一階キッチンの屋根上に空中庭園さながら!? 広いウッドデッキバルコニーを新設しました!!

正面にある目隠しの塀は、手前と奥に縦板を交互に並べて造作した

菖蒲張り(あやめばり)という和の木工仕上げです。

視線を遮(さえぎ)り、風を通します。

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜02〜

 

お子様が簡易プールに入って遊んだり、

外でちょっとした軽食をとったりできるように、

ここにもかわいいタイル仕上げの手洗い場を設置しました。

 

さて、最後のお掃除が済み、メンテナンスの日まで、

私達スタッフはこの家とお別れです!

 

築80年以上の風雅なお屋敷。

この家を引つ継がれた若きオーナー様のセンスと往時の細やかな

彫刻や加工が施された素敵なデザインのコラボレーション(融合)。

新たな80年間を超えて、また次に受け継がれていくことだと思います。

 

弊社の建築とデザインは、完全な復元ではありません。

残すべき良きものは残し、新しい部材が馴染むよう、

設計デザイン担当者と職人が奮闘した結果が、こちらのお屋敷です。

いかがでしょうか?

 

最後になりましたが、

ご信頼いただき、その多くを私たちにお任せくださった施主様に

心から深く、お礼を申し上げます。

誠に有り難うございました。

 

こちらの『杉皮塀のある町家』 は、弊社のホームページの

『  ピックアップ施工事例  Before&After  』にて、工事前と完成の様子を

詳しく確認することが可能です。

よろしければ、合わせてご覧ください。

 

『  ピックアップ施工例  』

(→ コチラ http://www.ginyusya.com/pickup/detail_08.html)

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)