加茂街道『賀茂川沿いに佇む京町家リノベーション』vol.4

賀茂川の気配と木々の緑に包まれる「賀茂川沿いの京町家リノベーション」。
屋根の葺き替えを終え、現場は「木工事」の段階へ。建物の骨組みを整え、新しい命を吹き込む、とても大切な工程です。
見えない場所こそ大切に
京町家のリノベーションを考えるとき、多くの方がまず気にかけられるのが「耐震性」ではないでしょうか。戦前に建てられた町家は、現代の耐震基準とは異なる考え方のもとに造られています。
吟優舎では、その歴史を尊重しつつも、木工事の段階で構造を根本から見直し、現代の暮らしにふさわしい強度へと高める補強を行っています。


写真は、梁と梁を専用の金物で繋いだ様子です。
長い年月を耐え抜いてきた古い部材と古い部材、また古い部材と新しく加えた部材。それらを金物でしっかりと繋ぎ合わせることで、住まいを支える強固な骨組みへと生まれ変わります。

また、より高い耐震性を確保するために、厚みがあり高い強度を備えた板材「構造用合板」を用いた施工も取り入れています。柱・梁・土台を連続的につなぐことで、地震の揺れを「面」で受け止める、より確かな耐震構造へと整えていきます。
これらの補強は、完成後には壁や天井の奥に隠れてしまいます。
しかし、「見えない場所にこそ、大切に」。 私たちはそう考え、工事中にしか見ることのできない構造補強の様子も、施主様へ丁寧にお伝えしています。
歳月を物語る、京町家の象徴「ゴロンボ」
町家の解体を進めるなかで、力強い姿を現したのが、ゴツゴツとした丸太の梁。 京町家で古くから「ゴロンボ(ゴロン棒)」と呼ばれるものです。

かつての職人たちは、自然のしなりがある丸太が、いかに強靭であるかを知り尽くしていました。その特性を生かし、適材適所に配置することで、町家の強度を支える要としたのです。
通常は2階天井に見られるゴロンボですが、この町家では、1階部分にも立派なゴロンボが渡されていました。1階と2階の梁を交差させるように配置することで、建物全体のねじれを防ぐという、当時の大工の見事な仕事ぶりが伺えます。

当初、ゴロンボは天井裏に収める予定でした。 しかし、2階の寝室に現れたゴロンボがとても堂々と美しかったため、急遽施主様にご相談し、その力強い質感を活かした「見せる意匠」へと変更いたしました。
本来は「野材(のざい)」と呼ばれ、隠れることを前提とした材料ですので、 手をかける必要があります。一つひとつ丁寧に磨き上げ、風合いを損なわないよう塗装を施して、大正ロマンが香る空間のアクセントとなるよう整えていきます。
少しずつ家らしくなっていく喜び
「木工事も順調に進んでおります」という担当者からの報告に、施主様からメッセージをいただきました。
「解体ではなく、『作る』作業が始まったんですね。テンション上がります!」
その明るいメッセージに、私たちスタッフも励まされます。 壊す工程から、積み上げる工程へ。
新しい暮らしの輪郭が少しずつ見え始める瞬間は、何度立ち会っても感慨深いものです。
施主様の期待をしっかりと受け止め、完成の日まで、細かな気遣いを忘れず歩みを進めてまいります。
blogged by 黒川京子
❖吟優舎の施工写真や動画はInstagramで→ @ginyusya_official
2026年1月27日 5:17 PM | カテゴリー:( 1. お知らせ ) | コメント(0)


















