『 最近の記事 』
賀茂川のせせらぎ。
街路樹を渡っていく、やわらかな風の音。
穏やかな環境で、京町家のリノベーション工事が進んでいます。
今回は、数ある設えの中でも、特に施主様の想いが色濃く映し出された部分をご紹介いたします。
前回のお話はこちら→
vol.1
vol.2
vol.3
vol.4
心に留まっていた 町家の壁
施主様が街中で目に留められた、町家の壁色。
そのお写真を手がかりに、今回の外壁の色を検討しました。
塗り替え前の壁の色
塗り替え後の壁の色
茶を基調としながら、どこか赤みを含んだ色調。木部とよく調和し、やわらかな華やぎを感じさせる色合いになりました。
完成した外観
外壁の仕上げには、化粧漆喰とも呼ばれるスタッコ塗装を採用しました。やや細かな粒子を選び、光を受けるたびに陰影が生まれる、奥行きのある表情に仕上がっています。
色味や質感は、必ずサンプルを作成し、実際に触れながら、自然光の下での見え方を確かめていきました。納得できるまで、施主様と一つひとつ確かめながら決定しています。
実際に作成したサンプル
完成後、施主様からは「外壁の色、イメージしていたのとぴったりです」とのお言葉をいただきました。
毎朝この町家の前を通りかかるスタッフからは「スモークピンク系の壁色と木材の色味がよく調和していて、周りの家並みの中でも、どこか印象に残る佇まいだと感じていました」という声もありました。
キッチンに寄り添う 小さな居場所
施主様のご希望でキッチンダイニングの一角に設けたのが、「ヌック」です。ヌックは、欧米の住まいにおいて、読書や休息のための小さな居場所として設けられています。
施主様からいただいたのは、このようなイメージでした。
「木の箱のような形で、座面にはクッションを置きます。背もたれは、低くていいと思っています。テーブルと椅子を置けば、ダイニングとしても使えるイメージです」
具体的なイメージをもとに、設計プランナーが丁寧に図面へと落とし込みました。
座面下は収納として活用できるよう計画し、背もたれには、ぽこぽこした手触りが特徴の「なぐり仕上げ」木材を採用。光の当たり方によって表情が変わる、美しい木目が印象的です。
大工職人の手によるヌック
椅子の下は収納スペース
完成後には、施主様から「素晴らしいです。背もたれの木の模様もとても綺麗で、幸せです」と、嬉しいお言葉をいただきました。
途中の時間も施主様とともに
工事の途中経過も、施主様と共有することを大切にしている吟優舎。定期的に現場の写真をお送りし、住まいが少しずつ形になっていく様子をお伝えしています。
「どんどん、お家らしくなってきていますね」
施主様からのメッセージからは、完成を待ちわびながら、工事の過程そのものも楽しんでくださっているご様子が伝わってきました。
私たちもまた、そのお気持ちに応えるべく、自然と背筋が伸びます。
賀茂川のせせらぎのそばで、この町家は、少しずつ完成へと近づいています。
blogged by 黒川京子
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2026年2月23日 3:04 PM |
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After:リノベーション後の外観
六条通りにほど近い、100年以上の歴史を持つ京町家。
完成編①と②をお届けしてきましたが、いよいよ最終回をお届けします。
前回までのお話はこちら→
vol.1
vol.2
vol.3
vol.4
vol.5
vol.6
こちらの町家は、初代の持ち主が骨董商だったこともあり、細部にまで意匠が凝らされ、随所に趣のある設えが見られました。
中でも私たち吟優舎のスタッフが特に感銘を受けたのが、「天井」の美しさです。
Before:解体中の2階
天井が語る、時間の記憶
vol.3でも少しご紹介したこちらの天井。
年月を重ねたからこそ醸し出される深い趣がありました。
「この天井は、ぜひ新しい暮らしの中にも残したい」
——その想いを形にし、住まいと自然に調和させています。
After:完成後の2階リビング
重厚感ある天井の下に広がる、2階のリビング。
お部屋の入口にはアーチ開口を設け、空間に柔らかな曲線と趣を添えています。
また、垂れ壁と窓のあいだには、職人技が光る網代天井が。
こちらも丁寧に保存し、当時の面影を今に伝えています。
After:元の天井を生かした網代天井
水屋の記憶を受け継ぐ御手洗
リビングの隣に位置する御手洗は、もともと茶席の準備を行う「水屋」があった場所。
Before:水屋の跡
After:2階御手洗
かつての天井をそのまま残し、空間に流れる“時間の重なり”を静かに感じられる設計となっています。
インスタグラムでこの部分の動画を見る
Before:解体中
After:リノベーション後
こちらは、かつて床の間だった一角です。
段違い棚や布製のふすまをそのまま活かし、意匠はそのままに、ワークスペースへと生まれ変わりました。
あらかじめデスクの設置を決めることで、コンセントの高さも最適な位置に設定しています。
吟優舎では、家具や家電を事前に施主様にご決定いただき、サイズや形状に合わせて図面へと反映させていきます。
ベッドサイドも、心地よく
After
vol.3でもご紹介した、造作のベッドサイドテーブル。
ベッドの高さにぴったりと合わせているため、使い勝手も抜群です。
暮らしのなかで感じる“ちょうどいい”の積み重ねが、住まいの満足感につながります。
大正ロマンが香る、和洋室へ
Before:解体前の2階座敷
After:部屋をふたつに分け、天然素材のフローリングを設えた和洋室へ
伝統的な意匠に、現代の暮らしやすさを織り交ぜた空間。
まさに「大正ロマン」が香るような、懐かしさと新しさの調和が感じられるお部屋になったのではないでしょうか。
数寄屋造りの京町家、これにて完成です
今回で、こちらの町家リノベーションのご報告は最終回となります。
数寄屋造りの美しい京町家に携わることができ、私たち吟優舎としても大変光栄でした。
最後に、施主様へ心より御礼申し上げます。
この素晴らしい町家の再生に際し、常にあたたかく、丁寧にご対応くださったことに深く感謝しております。
今後とも、末永いご縁を賜りたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。
blogged by 黒川京子
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2025年5月8日 3:39 PM |
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季節のお便り
施主様から、素敵なお庭の写真と嬉しいメッセージを頂きました。
色づいた紅葉とともに、丁寧な暮らしを楽しんでいらっしゃることが伝わってきます。
吟優舎では、ご契約が済むと施主様とのグループLINEを作ります。LINEグループは竣工後も残し、どんな些細なことでもお客様がご相談できる体制を心がけています。ご相談だけでなく、このように季節のメッセージを送ってくださることもあり、私たちも大変楽しみに拝見しています。
後に、追加のお写真とメッセージもいただきました。
「この美しい紅葉をこれから毎年見ることが出来るのかと思うととても贅沢です
ツワブキの花の写真も撮ってみました
可愛らしい様子に優しい気持ちになりました
葉も生き生きしており これからの成長が楽しみです」
大切に住まわれている様子は、私たちの大きな励みになります。誠に有り難うございます。
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
2024年12月19日 5:43 PM |
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下京区六条『大正ロマン数寄屋造りの町家リノベーション』 vol.4
日々変化する京都の街並みの中で、まだ昔ながらの京の面影を残す下京区六条。100年以上の歴史がある町家を、古き良きものを残しながらリノベーション。新たに生まれ変わった部分をご紹介していきます。
前回までのお話はこちら→
vol.1
vol.2
vol.3
「この町家を建てた当時の持ち主は、骨董商をしていたようです」
施主様のお言葉に「なるほど」と思わず頷いてしまうほど、素材や様式にこだわった美しい意匠が家中に見られる数寄屋造りの町家。
中でも、2階和室天井に取りつけられていた大きく美しい灯りは、目を奪う迫力がありました。
解体中に撮影した灯りです。
大きな球体のシェードに嵌められた真鍮の装飾が、レトロな印象を醸し出しています。真下で見ると圧巻であり、時代を経ても変わらない美しさを感じさせます。
解体中は2階の床が外されていたため1階からもよく見えましたが、やはり存在感があります。
ここまで立派なものは、現在では探してもなかなか見つからないもの。リノベーション後もこの灯りをぜひ生かしたいと考え、今回新たに作る1階ガレージの灯りとして再設定するプランをご提案しました。
こちらが、新しく作ったガレージに設置された様子です。
町家のファサードとよくマッチしているのではないでしょうか。外からも見えるため、まるでこの町家の新しいシンボルになったようです。
もう一度、工事中の2階へと戻ります。
立派で趣向を凝らした造りは、灯りだけではありません。
丸太と煤竹(すすたけ)を組み合わせた、独特の趣を放つ天井です。煤竹とは、元々は古民家の囲炉裏の煙で燻されて変色した竹のこと。茶褐色の色合いが魅力です。
勾配のある船底天井は、空間を広く見せるだけでなく落ち着いた雰囲気をもたらすのが特徴です。
状態もよく大変美しいため、埃払いと部分補修を加えてそのまま生かすことになりました。
新しくなった2階です。
床は断熱材を入れた上でアカシア材のフローリングに。壁のやわらかな桃茶色のクロスが、煤竹の船底天井とフローリングを優しく繋ぎます。
時を経たものには、新しいものにはない美しさがあります。古き良きものを残しながらセンスと技術で磨き込み、新しいものとの絶妙な調和を追求しながら個性に昇華させる。吟優舎の設計プランが目指しているところです。
blogged by 黒川京子
2024年11月29日 11:29 AM |
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下京区六条『大正ロマン数寄屋造りの町家リノベーション』vol.3
100年以上の歴史を持つ、数寄屋造りの町家。古き良き意匠が数多く残る、立派な一軒です。
前回までのお話はこちら→
vol.1
vol.2
吟優舎では、よりご満足いただけるリノベーションを実現するため、施主様のライフスタイルや趣味などを加味した設計プランニングを行っています。
こちらの施主様が気にされていたのは、就寝時のいびき。
そこで、隣り合う2つの寝室を隔てる壁に、防音施工を行うご提案をしました。
寝室工事の状況です。
壁の黒っぽいシート状のものは遮音シートです。燃えにくいポリエチレン系発泡シートでできており、壁の中に設置することで音の伝わりを抑制する効果があります。話し声やテレビの音などが隣室に伝わりにくくなります。
また、防音扉を設置するための枠取り付け施工も行いました。
これらの施工は、あらかじめエアコンや家具の位置を決定してから慎重に行っています。後から壁や天井に穴を開けると、防音効果が低減するためです。
同じように、トイレ壁にも遮音シートを施工しています。
寝室全体の工事も進んでいます。
施主様が購入予定のベッド横には、高さがぴったりと合うサイドテーブルを造作しました。
既製品も検討しましたが、造作だとより最適な高さに設定でき、ベッドから調光などの操作がしやすくなります。
このように吟優舎では、全ての家具や家電を施主様に決定(場合によっては購入)して頂き、サイズや形状を確認。配置は弊社で検討し、図面に反映させていきます。
あらかじめ家具と配置を決めることで、ちょうどいい場所にスイッチやコンセントなどを設置でき、住み始めてからの満足度が高いリノベーションが可能になります。
吟優舎のこだわりの一つです。
blogged by 黒川京子
2024年11月22日 11:00 AM |
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