床下の補強を行いました。前回のブログでお伝えしたように、この年代の伝統工法で建築された家は基礎がなく、床から上の構造に比べて床下の構造が弱いケースが多く見受けられます。前回ブログで解体後の床下の状況がご確認いただけますが、こちらも例外ではありませんでした。今回はその改修 補強に『根がらみ工法』を採用しました。『根がらみ工法』とは、床下で独立して存在する柱を厚みのある木材で繋(つな)ぐというものです。金物はビスでなく、柱や梁の連結に使う頑強なコーチスクリューボルトを採用しています。次に下が腐食した柱は、腐食部分を除去して新たに柱を根接ぎしました。この際、下からの水に干渉しないように、その柱の下に小さな独立基礎を作り、上げています。
また、下がり傾いていた勝手口庇屋根は、その根元を胴と言われる構造材に繋ぎ補強した上で、ジャッキアップ(文字通り ジャッキで上げて柱を入れ直す作業)を行いました。
ただ単に綺麗にするという工事でなく、町家の工事ではこのような補強補修工事がとても重要なポイントとなります。

床下で独立している基礎を厚みのある木材で連結します。 とても有効な補強工法の一つです。

柱と補強材を留める金物は、ビスではなく構造用のコーチスクリューボルトを採用します。

柱の腐食した部分を除去し、差し替えました。最下部は水を吸い上げなないように独立基礎で上げています。継ぎ足した木材と既存柱の木目を合わせているのが分かっていただけるでしょうか?!

下がった庇を補正するため、ジャッキで上げて柱を入れ替えます。また弱った接合部の補強のため、建物本体の構造材に補強接合しています。

撤去した歌舞伎門に当初から有った、とってもアンティークな外灯です。初めて拝見した時から再生再利用をしたいと思っていました!!

お客様は箔の専門家です。弊社で補強溶接してお客様が塗装のコラボ再生作業!!見事に復活ですヽ(^。^)ノ

塗装は町家工事の要(かなめ)の作業です。 私たちがその塗装作業で最も信頼し、頼りにしている人。その真っ直ぐな気性と真面目さは、国宝級?!です。

サイズカット、補強して設置完了!!次に、すりガラスを装着して、全体を塗装し直します。そして金物の取り付け。アンティークの建具の再生はなかなか手間の掛かる作業なのです!(^_^.)
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年9月5日 11:05 AM |
カテゴリー:出格子町家 VOL.4 |
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これから施工に入るお客様の建具を探しに京都夷川へ行ってきました!!
工事内容は、まさに京町家のリノベーションです。
既存の枠を利用するということでサイズ的にアンティークの建具は無理と判断して、新規建具の製作でプランしていたのですが、デザイン的にどうしてもアンティーク建具でいきたいというプランナーの強い思いから、先週の日曜日に夷川の中古建具屋さんへ行ってきました。
30~40坪ぐらいはありそうな倉庫と敷地内に所狭しと並べられた無数の建具。 スタイル、色も様々な数百枚の明治から大正、昭和初期製作の建具の数々・・・。
その時代時代の流行りや技術を反映しているのが良く分かり、本当に面白い素材です。
通常は、枠を交換するフルリノベーションの時にしか採用していません。 どうしてもサイズが合わず採用が難しいからです。
案の定、デザインが良くてもサイズが合わず、サイズが合ってもデザインが良くない・・・。
探すこと数時間 (-_-;)・・・・・・。
その結果、妥協なきプランナー新造貴子が探し出したアンティーク建具が以下の写真ですヽ(^o^)丿!!
色、スタイル共に今回の町家のプランにピッタリだと思います。
お客様に気に入って頂けると良いのですが・・・!!
また、この建具を探すにあたって、忍耐強く最後までとても親切に対応してくださったお店のスタッフの方には、心から感謝しております。 誠に有り難うございます。 m(__)m

色、スタイル共、今回の改装にピッタリです!!

木目がとっても良い感じではないでしょうか? 新品の建具には無い風合いがあります。

アンティークだけに傷もあります。 この風合いを損なわないように修正していきます。 また引戸を開戸仕様に変更します。
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年6月2日 6:25 AM |
カテゴリー:2012年6月1日 町家の建具 |
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