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古民家から、蔵のような外観へ
吟優舎がご提案したのは「蔵戸をイメージした町家リノベーション」。
白壁に町家らしい格子を合わせ、玄関にはアンティークの蔵戸を設えました。
まるで蔵のような趣を放つ、新しいファサードの誕生です。
アンティーク蔵戸を再生した玄関扉
約100年前に建てられ、時を経る中でアルミサッシの玄関に改装されていました。
新たな扉は、実際に使われていた蔵戸を採用。風合いを残しつつ、補修・磨きを施し、再生しました。
吊り引き戸とすることで、重厚さを保ちつつもスムーズな開閉が可能です。
大正ロマン薫る玄関ホール
一般的な玄関土間から、墨モルタルに飾りタイルをあしらった空間へ。
天井には格子を施し、丸みのあるカサが可愛らしいアンティークのペンダントライトを設置。
大正モダンの薫りを感じさせる、あたたかみあるエントランスになりました。
白いタイルが輝くキッチン
時を経て古びていたキッチンは、すっきりと清潔感のある白いタイル貼りの壁に。
新しいシステムキッチンを導入し、現代的な使いやすさと町家らしさを両立しました。
本棚に囲まれたLDK
キッチンから続く広々としたLDKには、ご夫妻の本棚を設置しました。
お手持ちの本棚と新たに迎えられた本棚を、事前に配置計画を立てて並べたことで、空間に心地よく調和しています。
吟優舎では、家具や家電のサイズや置き場所をあらかじめ図面に反映し、コンセントやスイッチも最適な位置に設置。暮らし始めてからの使いやすさにつながっています。
庭へと視線が抜ける座敷
LDKと和室の間には、三枚引込戸の襖を新設。
襖を開けると、奥庭の豊かな緑が視界に飛び込んできます。
両側に窓のない連棟の町家ならではの奥行きを活かし、開放感を演出しました。
庭を楽しむ縁側
草花と読書がお好きな施主様のため、縁側を広く取り、大きな掃き出し窓を設置。
ゆったりと庭を眺めたり、本を読みながら穏やかな時を過ごしたり、やさしい時間が流れる場所になりました。
茶室を思わせるアーチの廊下入口
縁側から水まわりへと続く廊下の入口は、茶室の火灯口(かとうぐち)をイメージし、柔らかなアーチ型に。
お風呂へ向かう道すがらにも、期待感が高まるよう設えました。
庭を囲む洗面とお風呂
もともとは浴室がなく、廊下の奥にシャワーがあるだけでした。そこで、浴室を新たに庭の眺めがよい位置へと再構成。
窓は湯船から緑を臨めるよう、あえて低めに設けています。庭とつながる水まわりは、日々の暮らしにやさしい潤いをもたらしてくれます。
緑が輝く庭
庭の奥にあった倉庫を撤去し、植栽を整え、陽光が差し込む明るい庭へ。
草花をこよなく愛する施主様のため、季節のうつろいを感じられる、美しい庭が生まれました。
連棟の古民家が、重厚な蔵戸のある町家へ。
火灯口のアーチや墨モルタルの玄関、本棚に囲まれたダイニング、そして緑あふれる庭の風景。
それらが織りなす静かで豊かな時間が、この家を包んでいます。
四季折々の光や風を受けとめながら、伏見のまちに溶け込むように佇む住まい。
ご夫妻の日常が、ゆるやかに、心地よく育まれていきます。