『 最近の記事 』

京都市伏見区 『Lスタイル-LDKの町家』 リノベーション VOL.2

【※写真をクリックすると、拡大されます。】

 

本日は、築50年以上を経た一軒家の 続報2回目です。

(※初回のブログはコチラ→ VOL.1

伏見稲荷大社にほど近い、青空につつまれた

レトロな住宅街よりお届けします。

 

(before)工事中外観と門

 

下宿として増築された広い二階のある古民家。

増築されるよりもっと以前、おそらくこの家の建築時に造られたと思われる、

京町家を象徴するような杉板と漆喰(しっくい)のコンパクトで

カワイイ歌舞伎門が残っています。

 

修復箇所の点検と解体作業を同時進行で始めました。

最初に、門の点検からご覧ください。

 

(before)修復箇所01 門

 

下宿する学生さん達も出入りした玄関周辺は、

門とお揃いの、屋根や照明のデザインが特徴です。

 

(before)修復箇所02 玄関

 

玄関を入ってすぐ正面に造られた学生さん専用の超急勾配!?の

階段を撤去し、飾り梁や木製手摺を造作。

二階窓から光が入る、吹き抜けのある町家スタイルの玄関にしました。

 

(before → after)玄関の吹き抜け

 

すぐ下では、左官職人による、石飾りの土間づくりが進行しています。

アート系のお施主様ご夫婦のギャラリーとして、作品やアート、小物などを

飾って楽しんでいただける広い玄関スペースの誕生です。

 

(before → after)玄関土間 ギャラリースペース

 

この玄関スペースの掃き出し窓(はきだしまど)に隣接させて、

ぬれ縁(えん)を造作。

庭からお客様を呼び入れたり、座っておしゃべりを楽しめる

昔ながらの憩(いこ)いスペースを造りました。

これは、お施主様からの強いご希望です。

 

(after)玄関スペース ぬれ縁

 

玄関入口には、土間から邸内へ昇り降りしやすいように式台を造作。

下には靴を入れる空間を確保しています。

乱雑に靴が並ぶことを避けるための弊社の標準仕様です。

玄関正面の壁には、おもてなしのアートとして、

唐草模様を版木で刷(す)った唐紙(からかみ)を貼り、

天井は、色違いの和紙を市松模様に貼った格天井(ごうてんじょう)に仕上げました。

 

(after)玄関土間から邸内を見る

 

さぁ続いて、今回の改装のテーマの 『 Lスタイル空間 』 をご案内します。

改修前の一階は「DK空間」と「和の座敷空間」が

壁と階段で遮断され、ぐるっと回って廊下を通って行き来するという

何とも不便な造りになっていました。

これは、和座敷を特別な場所として重んじる昔ながらの間取り設定に

由来するものだと思われます。

 

まず、この遮断している壁を解体撤去しました。

次に、明るい南庭に面した、家事動線から外れていて

一番静かな場所にある小さな座敷を広縁とまとめて一部屋にし、

ご家族がゆったりと集える<リビング空間>に設定。

そのリビングとDKの間にある、畳敷きの和室は残しました。

 

▶ <リビング空間>

▶ <和の座敷空間>

▶ <DK空間>

通常は、この三つの空間が、ちょうど英字のLの形(スタイル)で、

一つの大空間を形成しますが、

その三つの空間を、天井高の引込戸でそれぞれの個別の空間として

間仕切ることができる設計です。

 

この三つが一つにまとまって、『 LスタイルのLDK空間 』を造っています。

『 LスタイルのLDK空間 』 は、段差の無いバリアフリー(Barrier free)の床で

すべての居室と繋(つな)がっており、

「行き止まりのない回遊式の動線 」を実現しています。

 

・Lスタイルへ変身!

 

各部屋を回遊式にぐるぐると移動でき、家事の動きに無駄がないため、

家事や移動の効率もアップ、幼いお子様にも目が届き易くなっています。

南北の庭からの風通しも良くなりました。

こういった大胆な間取りの変更ができるのも、

柱で家を支える日本古来の「在来軸組(ざいらいじくぐみ)工法」で建つ

町家の大きな魅力のひとつかもしれません。

 

(before → after)行き止まり解消へ!回遊式の Lスタイル

 

玄関正面のアンティーク建具の出入口から、<リビング空間> へどうぞ。

このアンティーク建具は、この家にあったものをリメイクして再利用しています!

 

(after)Lスタイルをぐるり 01 リビング〜和の座敷

 

南面のコーナーには、ご主人様専用の大工造りのデスクを製作。

南庭への開口には、スーパーワイドのテラス窓を採用し、

ふんだんに太陽の光と風が取り入れられるように設計されています。

リビングの北面には、アンティークの2枚建具の収納および

床の間をアレンジしたデザインのテレビコーナーを造作。

煤竹(すすたけ)とカーブを描いた漆喰(しっくい)調の垂れ壁は

隣接する和室の床の間とつり合うよう、町家をイメージしたものです。

 

(after)オリジナルのデスクと煤竹と漆喰調の垂れ壁

 

そして、『 LスタイルのLDK空間 』の要所は、各部屋の間仕切り!

壁面収納式の背が高い引戸によって、

建具を開け放ち、普段はL字スタイルの一つの大空間として使用。

建具を閉めれば、個別の部屋が確保できるようになっています。

 

日常は広々と、また自由に仕切っても使える、フリースタイルのLDK空間です。

暮らしてみたら、いろんな生活スタイルの発見があるのではないでしょうか…?

 

(after)壁面収納の間仕切り建具01 リビング〜和の座敷

 

(after)壁面収納の間仕切り建具02 和の座敷〜DK空間

 

<リビング空間>から、隣りの<和の座敷空間>へどうぞ。

当初から存在する和室は、日本伝統の格式あるスタイルがなじみます。

壁面には珪藻土のクロス、床の間には和紙のクロスを施工。

表面のお化粧だけをリメイクし、デザインはそのままに

往時の姿を蘇(よみがえ)らせました。

 

(after)Lスタイルをぐるり 02 和の座敷〜DK空間

 

では、<和室の座敷空間>から、<DK空間>へどうぞ。

L字型の最後のしめくくりは、

水回り( 洗面所・浴室・WC )とガレージへ繋(つな)がる

ダイニング・キッチン(つまりDK空間)です。

 

(after)ダイニング・キッチン全景(=DK空間)

 

『 生活しやすい快適な空間造り 』 を目標に、

水回り全部(洗面所・浴室・WC)およびエントランス (玄関と通用口)の

生活動線を、すべて<DK空間>に直結させました。

家事動線は短く、効率良く!

奥様はもちろん、ご家族全員が、無駄なエネルギーを使わず、

楽に暮らせる生活動線を計画し設計しています。

 

家具もまた、オーダーメイドで造り付けることにより、

デッドスペースが無く能率も良い収納スペースを確保することが可能です。

 

(after)キッチンのカウンター

 

キッチンには、レトロ感が溢(あふ)れるモザイクタイルの

対面キッチンカウンターと収納バックカウンターを造作。

天板は、熱と汚れに強いステンレスです。

カウンターのキッチン側には、2列の調味料棚を製作。

小さいながらも、思った以上に有れば便利で嬉しい装備です!

収納バックカウンター内には、コンセントを設(もう)け、

棚はスライド式となっています。

勿論、無駄なスペースが発生しないように、お手持ちの

器具サイズに合わせて造作。

全て、現場の大工造りです!

 

対面キッチンカウンターに向って立てば、後ろに

冷蔵庫・収納バックカウンター・収納家具(食器棚)が一列に並びます。

では現場の大工造りの、収納家具(食器棚)をご覧ください。

 

(after)キッチンの収納家具(食器棚)

 

エアコン位置として、この収納家具の上部が最良なため、

エアコン取付用下地と一緒に造作しました。

既製品の家具では、上手く納まらない部分です。

扉の取手は、輸入雑貨のお店で購入したもので、弊社の在庫が最後となる逸品です!?

オリジナル家具ならではの、お楽しみです!

 

(after)愛車が見えるダイニング

 

キッチンやダイニングから、車をご覧になれるプランニング。

「家で、室内から愛車を眺めながら、寛(くつろ)ぎたい。」

というのが、ご主人様からのご要望でした。

 

そこで、浴室・洗面所・WC を解体撤去し、後ろに下げることでその空間を確保。

せっかくですので、

愛車をご覧になるための窓や建具を木で製作させて頂きました。

ガレージ内の壁面にも無垢の杉板を施工し、癒しある空間に。

ちなみにこの杉板壁の塗装は、ご主人様と弊社スタッフでの D・I・Y  施工です!!

 

ガレージ内部のコーナーには、車やその他の外回り品を洗うための

流し台スペースも造りました。

屋内ガレージですので、天候を気にすることなく、

作業スペースとしても活用できる空間です。

また、このガレージはDKに直結していますので、お買物の荷物を

楽にキッチンへ取り込むことが可能です。

 

(after)水回り01 洗面室&お風呂場

 

続いて、水回りへどうぞ。

<DK 空間> 直結の、水回り(洗面室・浴室・ WC)です。

ダイニング・キッチンから伸びる北庭への廊下に

洗面室・浴室・WC 、の順で配置設計。

廊下出入口には、大正期から昭和初期の町家で実際に使われていた

アンティーク建具をリメイクして設置しています。

この家の持つ町家イメージとピッタリと寄り添い、違和感なく納まってくれました!

 

WCに施工したホワイト色の花柄模様 (下、中央2枚の写真参照) のクロスは、

奥様からの支給品です。

このクロスの美しい花柄模様を引き立たせるため、他の三方のクロスは、

同系のホワイト無地のクロスを施工させて頂きました。

 

(after)水回り02 WC

 

 

最後に、二階について簡単にご紹介します。

断熱ペアガラスのサッシ窓への取り替えがメインの工事です。

以前、下宿部屋として増築され多くの部屋を有する二階フロアー。

全部で5部屋あります。

各窓には、以前の下宿増築工事の時のものだと思われる、

鉄製の窓建具が入っていました。

重く、動きも悪くなっており、断熱面でも問題があったので

全て交換。

窓さえ直せば、各部屋は普通に使用が可能ですし、

施主様自身のD・I ・Y  施工でのリフォームも可能な状態です。

 

南側の古い鉄製のバルコニーは、このブログ撮影後に施主様が塗装をされ、

弊社大工の一人と共に、床と屋根の工事をされてリフォームが完成しています!!

 

玄関の下宿生用の階段を撤去し造った、玄関吹き抜けの上部には、

木製格子の手摺を造作。二階から玄関を見下ろすことが可能です。

幼児が登れないよう、縦格子とし幾分高いめに設定しました。

 

・二階リフォーム部分について

 

今回のリノベーションには、

塗装を中心に、施主であるご主人様に工事に参加していただきました。

勿論弊社スタッフのレクチャー(Lecture)付き!?です。

 

D・I・Y のススメ!?(寸法採寸/家具塗装)

 

作業のほとんどが経験の無いことで大変だったと思いますが、

終始、にこやかに、気持ち良く参加してくださったご主人様には、

この場をお借りしまして、あらためて御礼申し上げます。

ご協力、本当に有り難う御座いました m(_ _)m

そして、誠にお疲れさまで御座いました。

 

〜伏見の光景をどうぞ〜

 

次回VOL.3では、完成写真をお届けいたします。

とりわけ、大きくイメージの変わった町家スタイルの外観を

ご覧頂きたいと思っております!!

 

ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

 

左京区北白川事務所 Vol.7

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

・吟優舎 北白川事務所 改装編 第七弾!

 

左京区北白川の事務所改装の続報です。

時期外れとなりましたが、Vol.6で消えた壁部の改装、

「暖炉コーナーづくり」をご報告いたします。

 

(before)北白川事務所 工事前の外観

 

こちらから以前の状況がご覧いただけます。

(→ Vol.1) (→ Vol.2) (→ Vol.3

(→ Vol.4)  (→ Vol.5) (→ Vol.6

 

・事務所内から見たオーダーメイド木製窓

 

窓台の枠まで木製…という、今となっては珍しく

昔懐かしいオーダーメイドの窓も、弊社にすっかり

馴染んで(なじんで)きたようです。

 

時折、コトン!カツン!と屋根にあたるどんぐりの音。

まだ冬の半ばの昼下がり、スタッフ一同が集まりました。

 

(before)塗装前 暖炉コーナー

 

(before)暖炉コーナー 塗装後

 

本日まで、コンクリートブロックを組んで積み上げ、

白のモルタル塗装と焦げ茶のタイル貼りで仕上げた

暖炉コーナーの姿です。

 

工事完了につき、弊社の設計デザイン担当者が

周辺の状況を初めてチェックします。

 

いかがでしょうか?

皆様も、設計士の目でご覧になってみてください。

 

(before)東側の壁 左

 

(before)東側の壁のつづき 右

 

「この空間は、何かが足りず、寂しいです!」

と、設計デザイン担当者のひと声が。

 

・暖炉に魔法が必要では!?

 

すぐさま、追加工事にとりかかりました。

 

(before)タイル幅などを実測確認

 

(before)今回選んだ陶器タイル

 

まるでパウル・クレー(→こちら Paul Klee)の絵のような、

鮮やかで色とりどりの陶器タイルを縦に並べることになり、

まず、タイルを貼る土台となる木部を造作していきます。

 

(before)タイル貼付け面を造作

 

同時に、

大工職人の手で、建具の枠を太くし厚みをもたせ、

スイスの古民家のように木部の存在感を際立たせます。

 

(before)建具枠を重厚に

 

色調を確かめながら慎重にタイルを貼り進め、

目地材(めじざい)を塗り込み、乾かします。

 

(before)目地材 乾燥中

 

数時間後に目地材を拭き取り、本日の工事が完了しました。

皆様、いかがでしょうか?

 

(本日のafter)暖炉周辺完成

 

( ↑ 写真をクリックすると大きくなります)

 

最後に、暖炉に火を入れてみました。

まだ寒かったこの時期、本物の火を見て暖まり、

ほっとするひと時でした。

 

・暖炉点火

 

では、次回こそ、完成後のすべてをご披露したいと思います。

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by 小川 還

 

 

 

 

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.6 【 完成編 後半 】

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

(after)洋のリビング ・吹き抜け

 

杉皮塀のある町家、完成編【 後半 】をお届けいたします。

※過去ブログへ → VOL.1・ VOL.2VOL.3・ VOL.4・ VOL.5

写真は、キッチンから見た洋のリビング。

 

(after)玄関内周り

 

天井を撤去し、屋根に天窓を造作しました。

吹き抜けにすることで、大きな梁や柱、勾配の屋根裏が見え、

変化に富んだ空間が創り出されました。

そして天窓からの光がさらにその変化に彩(いろどり)を添えてくれます。

このお屋敷ならではの美しさが際だったように思われます。

 

(after)吹き抜け 〜02〜

 

夕暮れの陽光が、天窓から吹き抜けへ差し込み、

様々な梁影を映し出し、退屈しません。

ちなみに上部の丸太の梁は、以前から有った古いもの。

下に見える角材の梁は、デザインと補強を兼ねて造作した新しいものです。

見た目には、どちらも元々有った古い梁に見えますが・・・。

 

(after)両開き窓を引戸に改造

 

リビングスペースの両開き窓は、

新しく外格子を取付け、そのまま引戸にリフォームしました!!

既存の開き窓の建具に溝加工を施し、納めています。

 

(after)アンティーク戸

 

室内各所に大正から昭和初期製造のアンティーク扉を設(しつら)えました。

扉の向こうは、和のリビングスペースです。

 

(after)和のリビングスペース

 

変色がなく、肌触りの優しい和紙の市松畳

オリジナルの京唐紙(からかみ)

新規造作のコンパクトでかわいい書院

個性豊かな和のリビングスペースの完成です。

 

(after)隠れ家的な書斎

 

押入の隣には、奥様の強いご要望であったミニマムな書院が完成しました!!

幼いお子様の様子を見ながらササッとメールを書いたり、本を読んだりと・・・

隠れ家のような空間で、作業にも集中できそうです。

 

(after)京唐紙(からかみ)の襖

 

襖(ふすま)は、伝統ある京唐紙(からかみ)へ貼り変えました。

柄(がら)はもちろん、紙色、紙質まで選んで、昔ながらの版木を使っての職人の手で作られる京唐紙です。

一点しか存在しない本物の逸品です!!

 

(after)新しい階段

 

さあ、二階へどうぞ。

階段は傾斜を緩(ゆる)くし、お子様が登りやすいように

段数を増やしています。

手摺(てすり)も大工造作で製作したオリジナルです。

 

(after)2階の洗面 〜01〜

 

町家イメージの洗面台の完成です!!

右のアンティーク戸(二階トイレ入口)とのバランスを考え、

この家の風格に合う、”渋さ”のあるデザインに。

陶器製の洗面ボウルが載(の)る天板は、一見(いっけん)、木の板に見えますが、

水の変色や腐れを考慮して、木肌色の陶器タイルを採用しています。

 

(after)2階の洗面 〜02〜

(after)2階の洗面 〜03〜

 

照明・鏡・陶器製洗面ボール・タイルなどは、

『  大正期の町家の 趣(おもむ)き  』を表現するように、

設計デザイン担当者が現場で実際の色や風合いを確認して選んだものです。

 

(after)和室の押入棚

 

一階和室の押入。

ここは二つあった階段の一つを撤去して収納にリフォームしたもの。

施主様のご要望をお聞きして、従来の中段のみの押入でなく、

洋服ダンス代わりにも使えるように

可動式の棚やネクタイハンガー、ズボンハンガー、パイプハンガーを設置しました。

 

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜01〜

 

一階キッチンの屋根上に空中庭園さながら!? 広いウッドデッキバルコニーを新設しました!!

正面にある目隠しの塀は、手前と奥に縦板を交互に並べて造作した

菖蒲張り(あやめばり)という和の木工仕上げです。

視線を遮(さえぎ)り、風を通します。

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜02〜

 

お子様が簡易プールに入って遊んだり、

外でちょっとした軽食をとったりできるように、

ここにもかわいいタイル仕上げの手洗い場を設置しました。

 

さて、最後のお掃除が済み、メンテナンスの日まで、

私達スタッフはこの家とお別れです!

 

築80年以上の風雅なお屋敷。

この家を引つ継がれた若きオーナー様のセンスと往時の細やかな

彫刻や加工が施された素敵なデザインのコラボレーション(融合)。

新たな80年間を超えて、また次に受け継がれていくことだと思います。

 

弊社の建築とデザインは、完全な復元ではありません。

残すべき良きものは残し、新しい部材が馴染むよう、

設計デザイン担当者と職人が奮闘した結果が、こちらのお屋敷です。

いかがでしょうか?

 

最後になりましたが、

ご信頼いただき、その多くを私たちにお任せくださった施主様に

心から深く、お礼を申し上げます。

誠に有り難うございました。

 

こちらの『杉皮塀のある町家』 は、弊社のホームページの

『  ピックアップ施工事例  Before&After  』にて、工事前と完成の様子を

詳しく確認することが可能です。

よろしければ、合わせてご覧ください。

 

『  ピックアップ施工例  』

(→ コチラ http://www.ginyusya.com/pickup/detail_08.html)

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.5 【 完成編 前半 】

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

(after)門周辺 〜01〜

 

杉皮塀のある町家、ついに完成編、前半をお届けします!!

(※過去ブログはコチラ→ VOL.1・ VOL.2VOL.3・ VOL.4

では、お邪魔いたします! m(_ _)m

 

(after)門周辺 〜02〜

 

最初の改修は、傷んだ歌舞伎門と杉皮塀からスタート。

左は従来の塀、右は弊社にて新しく造作した塀です。

 

(after)左/門から、右/玄関前から

 

背の高さで両側に濃い色があると圧迫感があるため、

設計デザイン担当者のアイデアで、

杉皮塀の一部を、白い漆喰壁にしました。

下部も従来より高めの位置で杉皮をカット。

結果的に、水仕舞いも良好に。

 

(after)玄関周り 〜01〜

 

左手の表玄関は格式ある昔のスタイルのままで残し、

右手の裏玄関を通常使う玄関として、リフォームしました。

 

(after)玄関周り 〜02〜

 

玄関を一歩入ると…

 

(after)裏玄関 兼 勝手口の天井

 

照明のアンティーク風ガラスシェードから反射し、

光の断片があちこちに漂います。

 

(after)玄関土間のモザイクタイル完成

 

(after)モザイクタイルのアップ

 

足元の土間には、カラフルな陶器製モザイクタイルを

埋め込みました。

 

(after)玄関内部

 

広い式台の上に、大容量の下駄箱をオーダーメイドし、

室内との境にはアンティーク戸を設置。

式台のフローリングは、フランス製の松材で波型加工された珍しいもの。

 

(after)玄関から見る

 

町家独特の天井の低さを解消するため、

玄関ホールから室内に入ってすぐのところに位置するリビングの天井を吹きぬけにしています。

見えている建具はすべて、大正から昭和初期に製作されたアンティーク建具を再利用したものです。

ちなみに左手のガラス戸は、この家の二階に有ったものを移動し、再利用しています。

 

(after)アンティーク照明

 

室内や廊下、トイレにも、アンティークをイメージした照明を

ふんだんに取り入れました。

 

(after)キッチン 〜01〜

 

リビングの隣は、ダイニングキッチン。

既存のシステムキッチンの収納部をリフォームし、

木目調に。

取手はすべてメタル製取手にリメイクしました。

壁面にはレトロイメージの陶器製モザイクタイルを施工しました。

 

(after)キッチン 〜02〜

 

中央にあるステンレス天板のキッチンカウンターは、

弊社のオーダーメイドで造作したもの。

左の大きなアンティークガラスの飾り窓からは、

玄関からの出入りはもちろん、

リビングにいる家族の気配を感じられ、

反対側のご家族もキッチン内の様子を知ることができます。

 

(after)キッチン 〜03〜

 

カウンターは、リビングからのお客様の視線を隠す

衝立(ついたて)でもあります。

背面の棚には、炊飯器や魔法瓶等を収納できるよう

にスライド棚を2カ所もうけ、コンセントを設置。

パンをこねたり、軽食をとったり、料理本を開いたり…

毎日楽しみながら使っていただいているご様子です。

 

さて、次回ブログでは、吹きぬけのリビングへ戻り、先をご案内いたします。

続編の「完成編!後半」 お楽しみに!!

 

弊社では、経験をつんだ設計デザイン担当者が改装中に

現場での造作の仕上がりをチェックし、吟味します。

そのたびに、色彩と空間とお客様がご要望されている

インテリアのイメージを再検討し、

ベストな状態へと修正する体制です。

完成編!後半でも、これまでご案内した工事中の風景が

どのように変化してくか、ご確認していただけます。

こちらの『杉皮塀のある町家』 は、弊社のホームページの

『ピックアップ施工事例』で ’ before & after ‘ を比較した

写真記事としてまとめてあります。

合わせてご覧ください。

 

「ピックアップ施工例」

(→ コチラ http://www.ginyusya.com/pickup/detail_08.html)

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.4

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

光陰者百代之過客(李白)

〝月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり〟(松尾芭蕉)

 

いつのまにか、

年賀状のお年玉ハガキ抽選も過ぎ…

長らく、お待たせいたしました!

ブログ更新、スピードアップしてまいります!

ここでしか見られない工事写真をメインにお届けします。

 

裏玄関(勝手口)完成間近

 

今回は、杉皮塀のある町家の続報です。

(※以前のブログはコチラ→ VOL.1・ VOL.2・ VOL.3

だんだん、家の顔がはっきりとしてきました。

 

(before)玄関土間モザイクタイル

 

玄関土間では、左官職人がモザイクタイル飾りを施工中です。

小さなタイルは、塗った下地へ押し込んで埋め込みますが、

サイズが大きいと押し込む時に周りが崖のように盛り上がって

しまうため、今回はまずタイルを設計位置で固めてから、

下地を塗って仕上げます。

 

(before)天窓と梁の上の足場板

 

邸内には、塗装屋さんとクロス貼り屋さん。

高い所に足場を組み、職人さんがテキパキ働く姿には

いつも見とれてしまいます。

この時点で、内装の木部の塗装が終わりました。

いよいよクロス(壁紙)貼りです。

 

(before)クロスを貼る前にも色彩チェック!

 

リフォーム前のキッチンでは、

クロス裏面に糊を付ける機械が稼働し、

貼る前の準備作業が進行中…

 

(before)パテで壁面補修中の洋室

 

クロスを貼る前に、壁の穴やへこみはひとつひとつ、

パテでなめらかに補修しております。

クロスが凸凹せず、しゅっとした仕上がりになるんです!

 

(before)増えた階段

 

上の階へ移動いたしましょう。

まだ緑色のテープで止めた薄板のカバー付きですが、

上り下りしやすくなった新しい階段です。

畳半分ほどスペースを広げて2段分増やし、

角度がぐっとゆるやかになりました。

手すりも弊社設計の、木製オーダー品です。

 

(before)旧 既存の洗面台

 

2階では、もとからあった現代的な洗面台を取り外し、

設計デザイン担当者が、現状をしっかりと最終確認。

町家の魅力をアップさせるため、新しい洗面台製作が始まります。

 

(before)洗面台設置場所&トイレの扉

 

横のトイレスペースの扉は、アンティーク扉に交換しました。

もちろん、トイレ内もリフォーム済みです。

…チラッとご覧ください。

 

(before)アンティーク扉のアップ

 

アンティーク扉は、鍵まで木製で使えるものを選んでおります。

それに合わせ、トイレ背面の壁紙も模様入りの茶色に。

 

(before)ウッドデッキバルコニー工事中

 

お隣の2階の洗濯干場では、大窓についていた

鉄の手すりを一部カットし、出入口としました。

大工職人が、屋根の上に続くバルコニーを造っています。

洗濯干場、そして、お子様も遊べる安全な第2の庭として…

風と日射しが心地よく、気持ちの良い場所です。

 

(before)ウッドデッキバルコニーの目隠し製作

 

数時間で、デッキ土台から目隠しの柱まで完成しました。

ここに縦板を取付け、前後にずらした板の間を風が通る

和の「菖蒲張り(あやめばり)」で仕上げる予定です。

夏のバーベキューや夕涼みに、お子様のプール遊びに、

きっと充実した空間となることでしょう。

 

次回は、いよいよ完成編となります。

本日はここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)